目次
- 【オープニング】テキスト / 動画
- 【ゲスト紹介】テキスト / 動画
- 【ペイシェントジャーニー】テキスト / 動画
- 【大変だったこと→乗り越えた方法】テキスト / 動画
- 【がんの経験から学んだこと】テキスト / 動画
※各セクションの「動画」をクリックすると、その箇所からYouTubeで見ることができます。
インタビュアー:岸田 / ゲスト:山添
【オープニング】
岸田 それではがんノートmini、スタートしていきたいと思います。きょうのゲストは山添さんです。
山添 よろしくお願いします。
【ゲスト紹介】

岸田 それでは次に、山添さんの自己紹介スライドをご紹介したいと思います。こちらです。山添さんは東京のご出身で、現在も東京にお住まいです。お仕事は経営コンサルタント。そして趣味は料理、ガーデニング、バイオリンと本当に多彩ですね。料理は普段からよくされるんですか。
山添 はい。実は治療が終わって休職していた期間に、近所の料理スタジオでレッスンを受けたのがきっかけなんです。さらにコロナ禍で外食ができなかったので、「家でおいしいものを作ろう」と思い、どんどん料理にハマっていきました。
岸田 習った中で、特に得意な料理というと?
山添 パエリアは何度も作っています。昨日はローストポークを作りました。イギリスの“サンデーロースト”という料理を教わったんですが、低温でじっくり焼くのでとても柔らかく仕上がるんです。家族にも好評でした。
岸田 低温調理は本当にやわらかくできますよね。
山添 はい。すごくしっとり仕上がるんです。それから、自家製の梅干しや梅ジャムなども作るようになってしまって。昨日のローストポークも、自家製の梅ジャムに漬け込んで作りました。調味料まで手作りする方向にどんどんハマっています。
岸田 本格的ですね。料理、ガーデニング、バイオリンと幅広く楽しまれている山添さんですが、罹患されたがんの種類は急性リンパ性白血病。告知は43歳のときで、現在は46歳。そして治療は薬物療法を中心に行われたということです。本日はどうぞよろしくお願いします。
山添 よろしくお願いします。
【ペイシェントジャーニー】
岸田 では早速、山添さんのペイシェントジャーニーについてお伺いしていきたいと思います。こちらのスライドになります。ご覧のとおり、本当に紆余曲折のあるグラフで、上に行けば行くほどハッピー、下に行けば行くほどアンハッピーという気持ちの動きを示しています。

【大変だったこと→乗り越えた方法】

岸田 そして、ここからは山添さんの“ゲストエクストラ”について伺っていきたいと思います。治療中に大変だったことや困ったこととして、「子育て」と「長女の中学受験」が挙がっています。どのような点が特につらかったのでしょうか。
山添 子育てについては、食事や睡眠、通学といった“基本的な生活部分”は両親が頑張ってくれたので何とか回っていました。ただ、細かいケアは正直、難しかったと思います。
学校に持っていく物の確認、行事の準備、急な連絡事項……そうした細かいところは、やはり現役のお母さんでないと気づけない部分が多くて。長女が小学校1年生の頃から仲良くしていたママ友に、LINEでお願いしながら助けてもらっていました。
また、週末も家にいるだけになってしまうと子どもたちが寂しくなってしまうので、友達のお母さんに「どこかに連れ出してもらえないかな」とお願いすることも多かったです。本当に周りの方々に支えてもらいました。
岸田 単身赴任のご主人がおられて、山添さんは入院……となると、お子さんの生活拠点はどうされていたんですか?
山添 私の両親が家に泊まり込みで来てくれました。子どもたちは学校が近所だったので、私の実家に預けるよりも、両親に家へ来てもらったほうが生活がスムーズだったんです。
本当に大変だったと思いますが、両親が支えてくれたおかげで子どもたちも日常を続けることができました。
岸田 そして、細かいケアはママ友やご友人がフォローしてくださった、と。
山添 はい。学校の情報、行事の準備、忘れ物のチェックなど、現役のお母さんだからこそ気づける部分をたくさん助けてもらいました。
大学時代の友人で近所に住んでいる子も、頻繁に家に来てくれましたし、小さなお子さんのいる家庭の友人が「今日はハロウィーンだから」と誘ってくれたり、いろいろと気にかけてもらったんです。
本当に、“女性の友達の存在”がこれほど尊く感じたことはありません。
岸田 いざというとき、周りの人に頼るって大事ですよね。
山添 本当にそう思います。
岸田 白血病の病棟って、お子さんが簡単に入れないんですよね。
山添 はい。中学生以上でないと入れないので、小学生の娘たちは基本的に病棟に入れませんでした。面会もガラス越しだったり、血球が安定したときだけ、別フロアの会議室を使って会えたり……本当に限られた環境でした。
さらに長女は中学受験を控えていて、同じ塾に通うお母さんが細かい情報を教えてくれたり、勉強のサポートの形まで心配してくれたり。本当に支えられて、乗り越えられた受験でした。
岸田 無事に受験も乗り越えられたんですね。
山添 はい。医師の皆さんもとても理解があって、「どうしても勉強を見る時間をつくりたい」と相談したら、血球が安定しているときに限り、会議室を1時間だけ貸してくださったこともありました。
点滴を受けながら、会議室で娘の勉強を見ることもありました。本当に医療者の方々の温かいサポートに救われましたね。
岸田 素晴らしいサポートですね。
山添 感謝しかありません。
【がんの経験から学んだこと】

岸田 では最後に、山添さんが今回のがん経験から「学んだこと」について伺っていきたいと思います。スライドはこちらです――《楽しみを見つける訓練を》。これはどういう意味でしょうか。
山添 がんの治療は、身体的にも本当に厳しいですが、それと同じくらい精神的にもつらくなります。そういう“しんどい時間”の中で、自分の気持ちをどう上げるか――そこがとても大きなポイントだと痛感しました。
入院中は、つらいことも、副作用も、制限も多い。だからこそ、ほんの小さな“楽しみ”を自分の中で持てるかどうかが、精神面に大きく影響すると思うんです。自分を励ます方法、気持ちを上向ける方法を持っている人は強い、と感じました。
私の場合は、音楽や食べ物でした。食べられないときでも「退院したらまず何を食べに行こうかな」と考えるだけで、少し気持ちが軽くなる。そんなふうに、自分の機嫌を自分で取るというか、小さな楽しみを見つける“訓練”が、入院前からできているといいなと思いました。
岸田 ありがとうございます。確かに僕も入院中、旅行のことを考えたりして気持ちを保っていました。
山添 そうですよね。楽しい未来のイメージがあるだけで、頑張れるんです。それと、自分を否定しないこともすごく大切だと思います。
岸田 否定していくと、どんどん暗いほうにいってしまいますよね。
山添 はい。自分を責めても何も良いことはありません。「あれが悪かったのかな、あのとき無理したからかな」と、誰でも考えてしまうと思うんですが、それを続けると悪循環になるだけです。
それよりも「治療を乗り越えたら何がしたいか」「退院後の生活をどう楽しむか」と前向きなほうに意識を向けたほうが、精神的には圧倒的に良い。治療は確かにつらいです。でも、どうせ同じ時間を過ごすなら、できるだけ明るいほうに、自分の心を向けてほしいと思います。
岸田 ネガティブに沈むのではなく、ポジティブに、そして楽しみを見つけながら向き合っていく――山添さんの闘病の仕方がすごく伝わってきました。ありがとうございます。
コロンビア大学での勉強の話から始まり、つらい時間を乗り越えての復職、そして本の出版まで、本当にいろいろな示唆をいただきました。僕自身も、きょうのお話で前向きに生きる姿勢を改めて学ばせていただきました。
本日はご出演いただき、本当にありがとうございました。
山添 ありがとうございました。
岸田 これにて、がんノート mini を終了したいと思います。ご覧いただいた皆さんも、ありがとうございました。
※本ページは、経験者の体験談を扱っております。治療法や副作用などには個人差がございますので、医療情報に関しましては主治医や、かかりつけの病院へご相談、また科学的根拠に基づいたWebページや情報サイトを参照してください。
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