目次

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インタビュアー:岸田・福岡 / ゲスト:安尾・藥師

がん啓発イベント「グリーンルーペ」開幕──患者・家族・支援者が語る”みんなで生きていこう”

岸田 それでは、きょう16時からのトークセッション「がんノート・みんなで生きていこう」を始めていきます。今回は、さらぽれさんとReBitさんをお迎えしてお届けします。よろしくお願いいたします。

安尾 よろしくお願いします。

岸田 まずは、今回のイベント内で行われている「グリーンルーペ」について、少しご紹介させてください。
この取り組みは、『知るのは、こわい。知らないのは、もっとこわい』というテーマのもと、がんについての啓発イベントを実施しているものです。患者さんやご家族、医療従事者だけでなく、今回は渋谷のど真ん中・明治通り沿いにある「渋谷キャスト」で、一般の方を対象に開催しています。
さて、本日はさまざまな方にお越しいただいていますが、まず簡単に自己紹介から始めていきたいと思います。なお、今日の進行は私・岸田ではなく、「がんノート」の理事が担当します。
それでは、まずは福岡のほうからお願いします。

福岡 「がんノート」で理事を務めております、福岡と申します。今日はファシリテーターとして進行を担当します。よろしくお願いいたします。
私と「がんノート」との関わりについてですが、実は40年前に父を急性骨髄性白血病で亡くしており、さらに5年前には、神経内分泌腫瘍という希少がんで夫を亡くしました。
夫が闘病中にブログを綴っていたのですが、その内容に対して岸田くんがコメントをくださったのがきっかけでご縁ができ、それ以来、「がんノート」をお手伝いさせていただくようになりました。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。

岸田 それでは、安尾さん自己紹介をよろしくお願いいたします。

安尾 NPO法人さらプロジェクトで副理事長を務めております、安尾と申します。普段は、障害のある方々の職業訓練や就業支援を主に担当しています。本日はどうぞよろしくお願いします。

岸田 ありがとうございます。今回は、障害者の就労支援の立場からご参加いただいています。それでは、藥師さん、お願いします。

藥師 認定NPO法人ReBitで代表理事を務めています、藥師実芳と申します。性的マイノリティーの子どもや若者たちの支援に取り組んでいます。よろしくお願いします。

岸田 ありがとうございます。私は、がんノート代表の岸田徹と申します。2010年代にがんを経験し、現在は治療を終えて経過観察中です。どうぞよろしくお願いします。

障害者就労支援の現場から見えた課題──定着率50%、”制度の枠”を超える支援の必要性

福岡 それでは、セッションを進めていきたいと思います。今回は、がんに加えてLGBTや障害者支援に取り組む団体の方々にもご参加いただいています。私たちは、がんの支援も、性的マイノリティや障害者支援も、根底にある課題は共通しているのではないかと考えています。「みんなで生きていこう」というテーマのもと、そうした視点から議論を深めるために、このセッションを企画しました。それではまず、各団体の活動内容をご紹介いただきたいと思います。安尾さん、よろしくお願いします。

安尾 改めまして、特定非営利活動法人さらプロジェクトの安尾と申します。
私たちの団体は、2000年に活動を開始しました。当初は、いわゆる“情報弱者”と呼ばれる方々に対して、ITスキルや知識を教え、広めていこうという目的でスタートした団体です。その活動を続けるなかで、ITスキルが、障害のある方や、就労にハンディを抱える方々にとって「武器」になると感じるようになり、2007年からは就労移行支援事業に取り組むようになりました。現在は、5つの事業所で就労移行支援を行っているほか、高齢者向けの取り組みとして、杉並区内にある「ゆうゆう館」という高齢者施設の運営も、3館担当させていただいています。
ここ最近の取り組みとしては、就労移行支援のなかで、「障害」という枠組みでは支援の手が届きにくい、しかし働くことに悩みを抱えている若者層に着目するようになりました。そこで2015年からは、若年層の就労支援にも力を入れています。

「障害者支援」と聞くと、人によってイメージする対象が異なると思いますが、私たちのところで支援しているのは、精神疾患や発達障害の診断を受けた方がほとんどです。そしてその多くが、一般企業への就労を目指しています。こちらは、訓練風景の写真です。見た目は一般的なオフィスのように見えるかもしれませんが、このような環境で、実際の企業で働くことを想定した職業訓練と就労支援を行っています。

今、私たちが感じている障害者雇用の現状と課題としては、障害者の雇用者数自体は年々増加傾向にあります。特に、精神疾患や発達障害のある方の雇用は顕著に伸びていて、たとえば精神疾患のある方の就職件数は、昨年比で34.7%増というデータも出ています。一方で、いま大きな課題となっているのが**「定着率」**です。就職してから3カ月後、あるいは1年後にその職場に残っているかどうかのデータを見ると、精神疾患のある方の1年後の定着率は約50%。つまり、半数が1年以内に離職しているというのが現実です。
こうした背景から、精神疾患を抱える方の就労支援では、「定着支援」が非常に重要だと認識されるようになってきました。実際、国の施策としても「就労定着支援事業」が始まり、支援体制の整備が進められています。

ただ、それだけで十分なのか?という疑問もあります。精神疾患や発達障害のある方々は、「治ってから働く」というわけではありません。治療と仕事を両立させながら働いていくのが現実です。そのためには、本人の障害理解や、職場の理解・配慮が必要になります。そういった意味で、就労支援の現場では「職場で長く働き続けるための支援」=定着支援が重視されるようになってきていますが、私たちとしては、さらに踏み込んで考える必要があると感じています。たとえば、「障害のある人たちが実際に働いている職場で、どのような業務を担当しているのか」「その仕事内容に見合った評価がなされているのか」「将来のキャリアを描ける仕組みが会社にあるのか」といった点です。
正直に言って、そのような環境整備や評価制度の整備は、まだ十分とはいえません。企業と関わる中で、私たちが強く感じているのは、「個人の努力」や「周囲の理解」だけに頼るのではなく、企業の側に“仕組み”を作っていくことの重要性です。
それが、私たちが現在、強く課題として捉えている部分です。

ハラスメント、福利厚生、設備、採用差別──LGBT就労を阻む4つの壁と「言えない」現実

福岡 安尾さん、ありがとうございました。では、続きまして藥師さん、お願いします。

藥師 LGBTの就活や就労の支援を行っている、認定NPO法人ReBit(リビット)の藥師です。

LGBTとは、同性を恋愛対象とする人や、身体の性と心の性が一致しない人のことを指します。私たちは、そういった子どもや若者の支援を行っており、LGBTを含むすべての子どもたちが、ありのままで大人になれる社会を目指して活動しています。
団体名の「ReBit」には、「Bit=少しずつ」を「Re=何度も繰り返す」ことで社会が変わっていくように、という願いを込めており、2009年に立ち上げました。現在は大学生や20代を中心に、約600名のメンバーと一緒に取り組んでいます。
活動は大きく三つの柱があります。

一つ目は教育事業で、学校現場でのLGBTに関する啓発を行っています。LGBTの子どもたちはいじめに遭いやすく、教育の現場でのサポートがとても重要だと感じています。
二つ目はキャリア支援です。自死未遂のピークは子どもの時期ですが、二番目のピークは就職活動の時期だと言われており、若者にとって就活は大きなストレスになっています。私はキャリアカウンセラーとして、これまでに2,000人以上のLGBTの就活生をサポートしてきました。
三つ目は職場づくりとリーダー支援で、企業でのLGBTに関する研修を行ったり、就労支援者への啓発を進めたりしながら、全国のLGBTの若手リーダーの応援も行っています。
ここからは、LGBTの就活・就労における課題についてお話しします。

LGBTという言葉は、**レズビアン(L)・ゲイ(G)・バイセクシュアル(B)・トランスジェンダー(T)**の頭文字を取った造語です。
レズビアン:女性として女性が恋愛対象の人

ゲイ:男性として男性が恋愛対象の人

バイセクシュアル:男女両方を恋愛対象とする人

トランスジェンダー:身体の性と、自認する性が異なる人

私自身もトランスジェンダーで、もともとは女性として生まれましたが、17歳から男性として生活しています。
「LGBTはどれくらいいるのか?」と聞かれることがよくありますが、調査によって幅はあるものの、国内ではおおむね3〜10%、近年では約8%というデータが多く、つまり12〜13人に1人がLGBTだとされています。

では、LGBTの人たちは就活のときにどれくらい困っているのか。日本財団と行った調査では、**L・G・Bの42.5%が性的指向や性自認に由来する困難を経験しており、トランスジェンダーに限るとその割合は87.4%**にものぼります。実際の現場でも、トランスジェンダーであることを内定後に伝えたら内定を取り消されたり、最終面接で「子どもは産めるのか」と聞かれたり、「LGBTです」と面接で伝えたら「帰れ」と言われたりと、面接官や人事の無理解による深刻なハラスメントが起きています。
一方で、困っていても96%のLGBTの方が、ハローワークや大学のキャリアセンターなどの支援機関に相談できていないという現状もあります。
つまり、困っていても声を上げられない、相談できないという「見えづらさ」が、大きな課題の一つだと感じています。
では、LGBTの人が働く中で実際にどんなことに困っているのか、大きく四つに分けてお話しします。

人間関係・ハラスメント
カミングアウトをしたことで、周囲に勝手に話を広められてしまったり(アウティング)、嫌がらせを受けたりすることがあります。
かといって、言わずに働いている人も約96%にのぼるという調査もあり、言わなければ言わないで「結婚は?」「女っ気ないけどホモなの?」などとからかわれるなど、どちらを選んでも傷つく構造になってしまっているのが現状です。

福利厚生の壁
同性パートナーが家族と認められず、介護休暇や看病のための休暇が取れないといった制度上の問題があります。

性別分けされた設備の使いづらさ
トランスジェンダーの方にとっては、トイレや更衣室、制服など男女で分かれている設備や制度が使いづらいことが多く、日常的なストレスとなります。

採用の不平等
就職活動そのものにおいて、性的指向や性自認に関する差別や偏見がいまだに根強く残っており、平等な機会が保障されていないという課題があります。

こうした課題に対して、社会全体の理解を深めることはもちろん、制度や職場環境そのものを変えていくことが必要だと感じています。
詳しくは、また後ほどお話しできればと思います。ありがとうございました。

2人に1人ががんになる時代、働く世代は4割超──両立支援ガイドラインと就労の現実

福岡 ありがとうございます。では最後に、がんノートの説明を岸田さんよろしくお願いします。

岸田 「『あなた』か『わたし』のがんの話をしよう」というコンセプトのもと、2014年にスタートしたがんノートは、今回で123回目を迎えます。これまで、がん経験者のインタビューを数多く発信してきました。その背景には、私たちが考える「がん患者さんの悩み」――たとえば、医療情報以外のセンシティブな情報の不足、ネガティブな情報のまん延、そして孤独感やマイノリティー性――に対して、何かできることはないかという思いがありました。

一歩踏み込んだ情報を提供すること。ネガティブな情報があふれる中でも、明るいロールモデルとなる方々の存在を伝えること。そして、孤独やマイノリティー性を抱える人々がつながれる場所をつくること。そういった目的から、がん経験者の方にインタビューを行い、当事者同士の対話として「がんノート」は始まりました。ロールモデルの提示については、実際の映像配信を通じてリアルな姿を届けたいと考えています。また、「つながる場所」として、生配信を取り入れることで、日本全国どこにいてもコメントや視聴で参加できるようにしています。場所は離れていても、この時間をともに過ごし、共有することができる。そんな場として、がんノートを続けています。
さて、きょうは「就労」に関するセッションもありますので、現在のがん対策と就労支援の経緯について、少しご紹介させてください。平成24年6月に始まった「第2期がん対策推進基本計画」において、働く世代の就労課題が新たに盛り込まれました。その後、平成25年には健康局、基準局、安定局などの関係部署ががん関連事業を推進。さらに「がん患者・経験者の就労のあり方に関する検討委員会」が設けられ、中間報告や加速化プランが発表されました。平成28年には「両立支援のためのガイドライン」が公表され、現在ではハローワークががん拠点病院で支援活動を行うなど、就労相談の体制も整いつつあります。

ここで、少し複雑な図にはなりますが、左側のグラフをご覧ください。2016年時点のデータで、青が男性、オレンジが女性のがん患者数の推移を示しています。
注目いただきたいのは、図中の赤枠で囲まれた部分です。20歳から64歳までのがん患者は全体の約26%を占めています。そして、定年が延長されていることもあり、20歳から69歳までの世代では41.9%と、全体の4割を超えています。
右側のグラフを見ると、70歳以上の男性患者も3.9万人。女性では、60歳以上が4.9万人、70歳以上が1.7万人という数字が示されています。男性の60歳以上も6.2万人と、今後ますます高齢世代の就労や治療の両立が課題となっていくことが読み取れます。
こうした就労とがん治療の現状や課題について、より詳しい情報は厚生労働省のホームページに掲載されています。ぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。

福岡 ありがとうございます!

 

障害者雇用率2.2%、LGBT雇用枠なし、がん助成金の申請はわずか4件──3つの立場で異なる就労支援制度

福岡 では、引き続き「就労」について考えていきたいと思います。まず、歴史的に見て最も早くから支援が整ってきたのは「障害者への支援」ではないかと思います。古くからそうした支援が行われてきた背景には、どのような歴史的要因があるのでしょうか? 安尾さん、いかがでしょうか。

安尾 もともと、障害のある方の就労支援は、戦後の傷痍軍人の就職支援から始まったと言われています。そうした経緯から、支援の歴史としては最も古く、体系的にも整備が進んでいます。当初は身体障害のある方への支援から始まり、次に知的障害のある方、そして精神障害のある方への支援が本格化したのは比較的最近で、10年ほど前からという流れです。

福岡 なるほど。企業ごとに「障害者枠」が設けられていると思いますが、精神障害や身体障害など、障害の種類による違いはないのでしょうか?

安尾 そうですね。障害の種別に関わらず、企業は全従業員のうち2.2%を障害のある方にするよう、「障害者雇用促進法」で定められています。こうした背景から、私たちが運営している就労移行支援事業所には、企業側から「うちの会社に合う人はいませんか?」という問い合わせを日々いただいている状況です。ある意味、売り手市場とも言えます。

福岡 ありがとうございます。障害者の方にはそのように就職枠がありますが、LGBTの方についてはいかがでしょうか? 企業が特別な枠を設けていることはありますか?

藥師 ありません。

福岡 ないんですね。

藥師 はい。LGBTの方は13人に1人ほどいるといわれていますが、「何パーセントを雇用する」といった枠組みは存在しませんし、それを作ろうという議論も現時点では特に行われていません。

福岡 現時点ではそういった動きはないということですね。

藥師 はい。今後も、そのような制度が作られる可能性は低いと見ています。

福岡 なるほど。では、がんの場合はどうでしょうか?

岸田 がんについても特別な雇用枠は設けられていません。ただ、例えば東京都では、がん患者を雇用した企業に対して助成金が出る制度があります。また、厚生労働省からも、がん患者の就労に関する助成制度が設けられています。とはいえ、2017年度に助成制度が作られた際も、全国の申請件数はわずか4件でした。制度の存在自体があまり知られておらず、特に企業側の認知が進んでいなかったためだと思います。この点については、先日の検討会でも「もっと告知が必要だ」という話が出ていました。

福岡 ありがとうございます。LGBT関連の団体では、行政などに対する働きかけはされていますか?

藥師 現在のところ、「LGBTの方を雇用したら助成金が出る」といった制度は存在していません。企業がLGBTの方にとって働きやすい施策を導入しても、金銭的支援があるわけではないのが現状です。

福岡 今後、そういった制度を実現していこうというお考えはありますか?

藥師 はい。例えば「LGBTの方も働きやすい制度を導入した企業に助成金を出す」といった仕組みがあれば、特に中小企業は取り組みやすくなると思います。そうした制度の必要性は感じています。

「上司が変わると配慮もリセット」──陰口、アウティング、無意識の差別が生む職場ハラスメント

福岡 ありがとうございます。就職の際にはさまざまな壁があると思いますが、仮に就職が決まった後も、LGBTの方が直面する「ハラスメント」の問題があるというお話が先ほどありました。では、障害者の方については、就職後にハラスメントなどの問題が生じることはあるのでしょうか。

安尾 ハラスメントというか…やはり、精神疾患に対する「スティグマ(偏見)」は根強くあります。会社の中にいるのは、理解のある人ばかりではありません。たとえ障害者雇用に熱心な企業であっても、社員全員がその意義や、障害のある方の困りごとを理解しているかというと、そうではないのが現実です。
たとえば、本人に聞こえるような陰口を言われることもあります。…陰口というより、もう“面と向かって”になってしまっていますよね。そういったことが、実際に社内で起きてしまうケースもあるんです。
また、障害者雇用では「配慮」を求めることができます。たとえば「音にとても敏感で集中できない」という方であれば、耳栓やノイズキャンセリングのイヤホンの使用を認めてもらいたいといった要望を会社に出せるんですね。これは、視力が悪い人がメガネを使うのと同じようなものです。
ですが、企業では人事異動がありますし、上司が変わることもあります。そうすると、新しい上司が「そんな配慮は認めない」と言い出すこともある。本来、それは上司が“認める・認めない”の問題ではないのですが、現実にはそうしたことが起きてしまう場合もあります。

福岡 なるほど。今のお話のようなハラスメントは、LGBTの方やがんの患者さんにも共通して起こりうると思いますが、LGBTの方にも陰口を言われたり、何かしらのハラスメントを受けるケースは多いのでしょうか?

藥師 そうですね。カミングアウトしている場合は、陰口を言われたり、あるいは本人の同意なくセクシュアリティが周囲に知られてしまう、「アウティング」が起こることがあります。これは非常によくある問題です。ただ、先ほども申し上げたように、職場でカミングアウトしている人は、全体のわずか**4%です。つまり96%**の方は、職場で自分のセクシュアリティを明かしていないんですね。

福岡 していないんですね。

藥師 はい。そうなると、「間接的なハラスメント」が起こる可能性があります。どういうことかというと、「この職場にはLGBTの人はいないだろう」という前提で、誰かを傷つけるつもりがないまま、無意識に差別的な言動をしてしまうケースです。
たとえば、「ホモネタ」を使って笑いを取るとか、飲み会で女装をして盛り上げる、あるいは「いつになったら彼氏/彼女できるの?」といった発言です。それらは、LGBTの人を“排除しよう”として言っているのではなく、単に「そこにはいない」と思っているから出てくる言動なんですね。でも、実際にはそこにいる可能性があるわけで、結果的にそれがハラスメントになってしまっている。そんな構造があると思います。

岸田 なるほど。では、たとえば学園祭などで女装や男装をするようなことも、場合によってはハラスメントと捉えられてしまう可能性があるということになりますか?

藥師 はい。実はこの点は、とても慎重に議論しないといけないところです。大学では、いわゆる「女装コンテスト」のような企画について、人権的な観点から「やめた方がいいのでは」という声や署名運動が起こってきました。最近では、そうした企画を自粛する大学も増えてきています。

岸田 そうなんですね。

藥師 はい。やはり、それを見ている学生の中には、「このキャンパスは自分にとって安全な場所ではない」と感じる人もいる、という実情があります。

福岡 なるほど。よく分かりました。では、がんの場合はどうでしょうか。似たようなハラスメントのようなことはあるのでしょうか?

岸田 ありますね。患者さんから聞いた話の中で、たとえば胃がんの経験者の方が、手術で胃を全摘した後に「ダンピング症状」に苦しんでいたというケースがあります。これは、食事をすると血糖値が急激に上がり、また急激に下がるという、乱高下が起きる症状です。
その予防策として、血糖値の安定を図るために飴をなめるという方法があるんです。でも、職場の理解がないと「あいつ、いつもお菓子ばっかり食べてる」なんて陰口を叩かれてしまい、居づらくなってしまうこともあります。また、がんを患っていることをどこまで職場に伝えるか、いわゆる「カミングアウト」の線引きも難しいです。ある患者さんは、休職中に会社がグループ買収されて上司が代わったことで、復職に大きな支障が出たという話をしてくれました。以前の上司は事情を理解して柔軟に対応してくれていましたが、新しい上司からは「働くか辞めるか、どっちかにして」と言われたそうです。こうしたように、上司や人事の交代によって状況が一変してしまうことがあるんですね。
さらに、がん患者の多くは通院しながら働いています。ですが、「病院に行くので休みます」と言うと、露骨に嫌な顔をされることもあるそうで…。そういった小さな摩擦の積み重ねが、職場での居心地の悪さにつながっているという話も、よく聞きます。

藥師 本当に、LGBTとがん、就労の面ではすごく似ている部分があると感じます。岸田さんともよくそういう話をするんですが、上司や職場の理解が重要なのはもちろんですが、それだけでは不十分で。やはり「制度化」が必要なんです。上司が代わった瞬間に、前の配慮がリセットされてしまうというのは、LGBTでもよくある話です。だからこそ、「理解促進」と「制度整備」、この2つを両軸で進めていく必要があると思います。

岸田 そうですよね。制度だけでなく、風土づくりも含めて、自治体や政府ができることと、私たちのような立場からも進めていくこと、どちらも大事です。

藥師 はい。行政だけでなく、職場内部の制度設計も本当に大切だと考えています。

障害者雇用・LGBT・がん患者に共通する「定着」の壁

福岡 ありがとうございます。「治療しながら働く」という点では、精神障害のある方にも同じような困難があるのではと思うのですが、通院や治療に関して、障害のある方が抱えている課題にはどのようなものがあるのでしょうか?

安尾 少なくとも、障害者雇用という形で働いている方たちについては、先ほどもお話ししたように、会社に配慮を求めることができます。たとえば、「月に1回、通院のために半日休みます」といった申し出をしたり、場合によっては通院日を土曜日に変えるなどして、働き方を調整することもあります。ただ、主治医の都合などもあるので、どうしても平日に通院が必要な場合は「月に1回、半日休ませてください」と会社にお願いすることになります。会社側もその事情を理解したうえで雇用する、という形が制度として整ってきているんです。

福岡 つまり、それはちゃんと制度化されているということですね。

安尾 はい。そうした制度があるからこそ、働きやすくなっている面もあると思います。

福岡 同じような制度が、LGBTの方やがん患者の方にも適用されるようになれば、もっと多くの方が安心して働けるようになるのではないかと感じます。では、少しテーマを変えて、先ほど「障害者支援において定着率が課題だ」という話がありましたが、1年後には半分ぐらいの方が辞めてしまうと。それは男女を問わず、ということですか?

安尾 そうですね。性別に関係なく、同様の傾向があります。

福岡 LGBTの方では、そのあたりどうでしょうか? 一度就職された後の「定着率」という面で、課題はないのでしょうか?

藥師 定着率に関する国の公式な調査はまだありませんが、私たちが日本財団と行った調査によると、LGBTの若者のうち、就職後3年以内に9割以上が何らかのハラスメントを経験しており、そのうち3割以上が「辞めたい」と感じ、実際に1割以上の方が退職しているという結果が出ています。無理解から来るハラスメントが、辞めざるを得ない状況を生み出しているというのが現状です。

福岡 なるほど。がんの患者さんの場合はいかがですか?

岸田 お話を聞いていて、「3割」という数字ががん患者にも当てはまると感じました。厚生労働省の研究班が少し前に行った調査によると、がんと診断された会社員のうち、約3割が自ら依願退職しているというデータがあります。自営業の方についても、廃業や休業を含めると、やはり3割程度にのぼるとされています。つまり、がんと診断されたことで「会社に迷惑をかけてしまう」と感じ、自分から辞めてしまうケースが多いというのが現状です。

福岡 なるほど。それぞれの立場において、就職後の定着率に課題があるということですね。ありがとうございます。

地方の偏見、都市の孤独──障害者・LGBT・がん患者が直面する家族・友人関係の壁

福岡 じゃあ、次のテーマとして「家族や友人との関わり」について伺いたいと思います。マイノリティーであるがゆえに、職場での課題だけでなく、家に帰ったときに家族や友人との関係で困難を抱えている方も多いのではないかと感じています。まず、障害者支援の観点から、家族や友人との関係にはどのような課題があるのでしょうか?

安尾 家族に関して言うと、かなり二極化する印象があります。しっかりサポートしてくれるご家族もいれば、「恥だから外に出るな」と言うようなご家族もいらっしゃいます。そういった場合、本人にとっては非常につらいですよね。

福岡 そうですよね。

安尾 ですので、私たちも支援のあり方として、たとえば「家にいると調子が悪くなってしまう」という方には、まずグループホームなどへの入居支援を通じて生活環境を整えるところから始めています。
また、私たちの団体は東京に4カ所、横浜に1カ所の事業所がありますが、東京のほうでは地方から出てきて1人暮らしをしながら働いていた方が、うつ病や統合失調症を発症されることもあります。そうした方に「実家に戻ったほうが安定するのでは?」という声がかかることもあるのですが、ご本人からは「実家には帰れません」と言われるケースも多いんです。というのも、地方のほうが東京以上に周囲の目が気になったり、偏見が強かったりすることがあるからです。

岸田 なるほど。地方のほうが、偏見が強いこともあるかもしれないですよね。

安尾 そうなんです。だから実家には戻りたくない、という気持ちも理解できます。

福岡 なるほどですね。

安尾 あと、友人や知人についても、応援してくれる人たちとは関係を続けていらっしゃいますが、過去の友人とはあえて縁を切っているという方も少なくありません。

福岡 ですよね。同じような状況は、LGBTの方にも当てはまると思うのですが、家族や友人との関係性において、難しさを感じることはありますか?

藥師 そうですね。家族との関係については、大きく二つの観点から考えたいと思います。

一つ目は、生まれ育った家族、つまり親やきょうだいとの関係です。実は、子どもの頃にいちばんカミングアウトしづらい相手は「家族」だという調査結果もあります。それだけ、伝えるのが難しい存在なんです。そして、たとえカミングアウトしても、受け入れてもらえないというケースも少なくありません。こうした関係性は、大人になってからもそのまま続いてしまうことが多いです。
もう一つは、大人になってからつくる「新しい家族」、つまりパートナーとの関係についてです。たとえば職場で同性パートナーがいることを言えていないと、周囲からは「単身者」とみなされてしまいます。そうなると、転勤の際に一緒に行けなかったり、パートナーが病気になっても看病に行けなかったりします。
また、最近では同性カップルで子どもを育てるケースも増えています。里親制度を利用できる都道府県も少しずつ増えているのですが、職場で「子どもがいる」と言えないと、たとえば「子どもがインフルエンザにかかったから休みたい」とも言えないし、時短勤務も認められない。さらに、パートナーの親の介護が必要になっても、家族として介護休暇を取ることができません。つまり、「家族がいる」という事実を職場でオープンにできないことが、働きにくさに直結しているんです。なので、家族に関しては、この二つの観点――「育った家族」と「築いた家族」の両方に課題があると感じています。

岸田 一つ聞いてもいいですか? 今日のこのイベント、渋谷区で開催されてますよね。渋谷って、たしかLGBT関連の取り組みをいろいろやってますよね? たとえば、同性婚の話とか…。

藥師 はい、あります。

岸田 たしか、同性婚を認めたり…いや、正確にはパートナーシップ証明書でしたっけ?

藥師 そうですね。渋谷区では「同性パートナーシップ証明書」を発行しています。

岸田 証明書を発行してくれてるんですよね。そういった取り組みがあることで、LGBTの方々が「言いやすくなる」といった効果はあるのでしょうか?

藥師 はい。素晴らしいご質問です。現在では、20以上の市区町村や都道府県がこの「同性パートナーシップ証明制度」を導入しています。この証明書は、その市区町村に住んでいる同性カップルが申請することで、行政が「このふたりはパートナー関係にある」と認めてくれるものです。
法律上の結婚とは異なりますが、この証明書があることで、たとえば企業に対して「私たちはパートナーです」と説明しやすくなったり、病院で「家族以外は面会できません」と言われたときにも、「パートナーなんです」と主張しやすくなったりするメリットがあります。

岸田 なるほど。

藥師 さらに、渋谷区の特徴的な取り組みとして、「LGBTにサポーティブな企業」を登録・公表する制度もあるんです。これは、「うちの会社はLGBTの方を差別しません」と企業が宣言することで、渋谷区がそれを登録する仕組みです。

岸田 へぇ、そんな制度があるんですね。

藥師 はい。たとえば「この会社なら安心してカミングアウトできるかもしれない」といった安心感につながりますし、公正な採用や職場環境づくりが進むきっかけにもなります。渋谷区はそういった意味でも非常に先進的な取り組みをしている自治体だと思います。

福岡 すごいですね。

岸田 本当にすごいと思います。

藥師 ありがとうございます。

福岡 素晴らしい取り組みですね。

岸田 がんの場合、政府が直接主導しているというよりも、「がん対策推進企業アクション」という、省庁が関わっている取り組みがあります。さらに民間企業が独自に、ゴールド、シルバー、ブロンズのような表彰を企業に対して行っていて、「この企業はがんと就労にしっかり取り組んでいます」といった評価がされています。こういった表彰制度があると、企業側としても取り組みやすくなりますし、動機づけにもつながると思います。

藥師 そうなんです。実はLGBTの分野にも「PRIDE指標」という制度があって、こちらもゴールド、シルバー、ブロンズのランクが用意されています。がんの取り組みとすごく似ているなと感じました。ただ、PRIDE指標は省庁ではなく、NPOなどの市民団体が主体となって運営しているものなんです。ですから、これが公的な制度として導入されれば、さらに社会的な推進力は高まると思います。

岸田 たしか、東京都も独自の取り組みをやっていましたよね。

福岡 そうなんですね。

藥師 はい。こうして横並びで、それぞれの分野の課題を共有すると、本当に学びが多いと改めて感じます。

「制度の枠を取っ払う」「ミルフィーユ状に重なる当事者性」──3団体が語る連携の必要性

福岡 本当ですね。では、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、最後にお伺いしたいことがあります。今、藥師さんからもお話があったように、異なる分野の団体同士が横につながることで、共通の課題や協働できる取り組みが見えてくると思います。今後、それぞれのマイノリティー団体が連携して活動していくうえで、何が一番大切だとお考えですか? 安尾さん、お願いします。

安尾 大きく二つあると思います。
一つ目は、私たち自身が、他の制度や法体系の中で活動している人たちと連携しようとする姿勢を持つこと。自分たちの分野に閉じこもらず、意識的に外へ出ていって他の団体とつながっていくということが大切だと思います。
二つ目は、私が障害者雇用支援に携わる中で感じている「制度のもどかしさ」です。たとえば「就労移行支援事業所」を利用するためには、自他ともに障害者として認められる必要があります。つまり、医師の診断を受け、障害者手帳を取得し、役所に行って「あなたは障害者です」と認定され、受給者証が発行されて初めて利用できる仕組みです。
でも、実際には、そのような制度の枠組みに乗っていなくても「困っている人たち」はたくさんいます。制度の外側にいるがゆえに支援にアクセスできない人たちが存在しているという現実があります。そうした現実に向き合うには、今ある制度の枠を超えて考えなければなりません。これは行政や国の制度設計そのものに関わる話ですが、「制度の枠を取っ払っていく」ような改革が必要だと感じています。

福岡 「枠を取っ払う」ということですね。

安尾 はい。その方向への働きかけが、今後ますます求められていくと思います。

福岡 ありがとうございます。藥師さん、いかがでしょうか?

藥師 そうですね。今日は私は、トランスジェンダーの当事者として参加していますが、実はADHDもあって、さらに家族ががんで闘病しているので、そのサポートもしています。つまり、私自身が「複数の課題の当事者」でもあるんです。
これは私に限った話ではなく、多くの人が「ミルフィーユ状に重なる当事者性」を持っています。だからこそ、支援する立場の人たちや課題に取り組む人たちがつながらないと、本質的な問題解決にはつながらないと思うんです。
今日、こうして分野を越えて横並びで対話ができたことは、本当に素晴らしいことだと思っています。
実際、2週間前に「RAINBOW CROSSING TOKYO」という、ダイバーシティに関するキャリアフォーラムを開催しました。その中では、LGBT、ジェンダー、エスニシティ、障害という4つのテーマで就労について考えるセッションを行いました。そこにはダブルマイノリティー、トリプルマイノリティーの当事者の方々が多く参加してくださり、貴重な声を届けてくれました。だからこそ、今後はもっと団体同士が連携して、課題を横断的に捉え、「生きやすさ」や「働きやすさ」について一緒に考えていく必要があると強く感じています。

福岡 じゃあ、岸田くん。

岸田 がんって、2人に1人がかかる病気ですし、先ほどの資料にもありましたが、69歳以下の世代では患者数が4倍以上に増えてきているというデータもあります。そういう意味では、がんは一見“メジャー”な病気のように思われがちなんですが、実際には症状も種類も一人ひとり異なっていて、すごく「個別性」が大切な病気でもあります。
たとえば、ステージ4のがん患者さんが一度退職すると、次に働くのがとても難しくなるという現実があります。また、舌がんになると話しづらくなってしまい、それだけで「この人は仕事ができないかもしれない」といったレッテルを貼られてしまうこともあります。
だからこそ、そうした方たちをどうサポートしていけるのか、考えることが必要です。たとえば、安尾さんのところのように「働く前の支援」をしてくれている仕組みは、がんの分野でもとても参考になるなと思っています。
それに、がん患者さんの中にもLGBTの方がいらっしゃるように、支援の現場では課題が重なり合っているケースも多いです。だからこそ、それぞれの立場が“横串”でつながって、一緒に「どうしていくのがいいのか」を考える機会をこれからも続けていくことが大切だと思います。

福岡 ありがとうございます。では、そろそろ時間となりましたので、最後に協賛いただいた企業さまをご紹介して締めたいと思います。まず、山口の防長工務さま。

福岡 アフラックさま。そして、IBMさまにもご協賛いただいております。
また、YouTubeの「がんノート」チャンネルへの登録も、ぜひよろしくお願いいたします。登録していただくと通知が届きますので、次回以降の配信も見逃さずにご覧いただけるかと思います。

岸田 といった感じで、このセッションも終わりに近づいてまいりました。

福岡 じゃあ、岸田くん、どうでした?

岸田 いい時間でしたね。今回は「就労」にフォーカスして話を進めましたけれど、テーマを絞って深く話すことで、見えてくる課題もたくさんあるなと思いました。

福岡 だよね。やっぱりこういう「連携」って大事だよね。

岸田 ほんとそう思います。今日はがんをテーマにしたイベントではありましたけど、LGBTや障害の分野とも「課題感」が似ていたり、逆に「これ、取り入れたいな」って思う取り組みがあったりして、お互いに学び合える関係ってすごくいいなと感じました。

福岡 がん患者、LGBT、障害者といった方々が集まると、社会の中でも一定のボリュームになりますし、そうなれば“声の大きさ”も変わってくると思うんです。だからこそ、今後もこうした連携を深めていけたらいいですね。じゃあ最後に、お二人から一言ずついただいて、締めにしましょう。安尾さん、お願いします。

安尾 本当に私は「制度で縛られる」っていうのがすごく嫌で。
たとえば、私たちがやっている「就労移行支援事業所」って、全国に3000カ所以上あるんです。そこでは日々、職業訓練や就労支援が行われています。もちろん質には差があるんですけど、それでも、こうしたインフラは確実に広がっている。
だからこそ、「障害のある人」だけに限らず、「働くことに困難を抱えている人たち」全体に、この仕組みを広げていけたらいいなと思うんです。
そして、それを実現するには、まさに「連携」が必要だなと改めて感じました。…あれ? なんか私のときだけ、毎回何かが来るんですよね(笑)

福岡 安尾さんが話すときに限って、必ず何か起きますよね(笑)。さっきのもそうでしたね。

安尾 (笑)でも本当に、こうした場を通じて連携を深めていけたら嬉しいです。今日は楽しかったです。ありがとうございました。

福岡 ありがとうございます。では藥師さん、お願いします。

藥師 「生きづらさ」や「働きづらさ」って、マイノリティーの方だけの問題じゃないと思うんです。
実は、誰しもが何かしら「他の人と違う部分」を持っていて、それがふとしたときに「生きづらさ」や「働きづらさ」に変わることがある。
だからこそ、多くの方々とつながって、より働きやすく、生きやすい職場や地域社会を一緒に考えていけたらと思います。
今日は寒い中、そしてオンラインでご参加いただいた皆さんも、本当にありがとうございました。

岸田福岡 ありがとうございました。

岸田 それでは、『みんなで生きていこう』。ReBitさん、さらぽれさん、そして「がんノート」のコラボセッション、これにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

藥師 ありがとうございました。

福岡 ありがとうございました!

※本ページは、経験者の体験談を扱っております。治療法や副作用などには個人差がございますので、医療情報に関しましては主治医や、かかりつけの病院へご相談、また科学的根拠に基づいたWebページや情報サイトを参照してください。
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