闘病生活を続けながら、育児や山登り、社会人大学など様々なことに挑戦してゆく。
性別 | 女性 |
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がん種 | 消化管 |
治療方法 | 手術, 抗がん剤 |
ステージ | Ⅲc |
罹患年齢 | 40代 |
目次
- 発覚・告知テキスト / 動画
- 治療テキスト / 動画
- 家族テキスト / 動画
- 子どもテキスト / 動画
- 仕事テキスト / 動画
- お金・保険テキスト / 動画
- 辛い・克服テキスト / 動画
- 後遺症テキスト / 動画
- 反省・失敗テキスト / 動画
- 医療者へテキスト / 動画
- Cancer Giftテキスト / 動画
- 夢テキスト / 動画
- ペイシェントジャーニーテキスト / 動画
- 今、闘病中のあなたにテキスト / 動画
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インタビュアー:岸田 / ゲスト:遠藤
【発覚・告知】
岸田 今日のゲスト、紹介したいと思います。
遠藤 はい。遠藤まゆみと申します。
遠藤 私は胃がんで、ステージがⅢc。一昨年、2018年10月から闘病中で、当時は43歳でした。
遠藤 現在は、術後1年で経過観察中となっております。本日はよろしくお願いいたします。
岸田 よろしくお願いします。まず、まゆみさんがどうやって、がんが発覚していったのかをお聞きしたいと思います。
遠藤 がんが発覚した経緯は、2018年9月に総胆管結石という、胆のうに石がたまり、転がって、おなかが痛くなるという病気になりました。
遠藤 もともと自覚症状があったわけではなく、突然、おなかが痛くなって病院にかかりました。
遠藤 いったん石は流れたので治療は完了したのですが、まだ石が残っているから胆のう自体を取ったほうがいいと先生から勧められました。
遠藤 術前の検査で胃カメラをのんだら、「胆のうどころじゃなくて、胃が大変なことになっていますよ」と言われ、そこでがんが発覚しました。
岸田 最初、術前ではなく、普通にレントゲンは撮ってなかったのですか。
遠藤 術前、関係なく、内視鏡で胆石を流す処置をしたので、内視鏡は入っていたはずなのですが、胃は見てなかったみたいで。健康診断で毎年バリウムは飲んでて、がんが分かる2週間前にも検査はしましたが、何も問題なし。
岸田 うそ。だって、さっき説明ではⅢcでしたよね?2週間前のバリウム、問題ないんだ。
遠藤 問題ないって。
岸田 じゃあ胃カメラのみます。そのとき先生から、その場でやばいよって言われたわけではなく?
遠藤 その場で「ちょっと怪しいのが出てきているから、精検に出しますね。
遠藤 ほぼ怪しいから、家族も呼んできてください。」と。
遠藤 うちの夫に来てもらって、そのときに先生から「一応、正式には1週間後にしか分からないけど、ほぼ確実に、これはもう胃がんです。一応、覚悟しといてくださいね」と言われました。
岸田 そして1週間後、正式になったのを聞きに行きます。
遠藤 そのときに「がん細胞でした。開腹手術で胃を全摘します。
遠藤 2週間後に手術の枠を押さえておきますね」って言われて。
遠藤 その診断前の1週間に私、いっぱい図書館やネットで調べたりして内視鏡で取れるぐらいの、初期のはずと信じた状態で1週間後の告知を聞きに行ったら、「全然、初期じゃないよ。これ、多分3年か4年ぐらいかけて大きくなっている、進行がんですよ。
遠藤 大分、胃の深い所まで潜り込んでるから、もうおなかを切らないと駄目です」って言われて。
遠藤 「開腹手術じゃなくて、腹腔鏡手術でお願いできませんか」って聞いたら、「一応、腹腔鏡もOKやけど、最悪の場合、開腹手術になるのも思っといてくださいね」って言われました。
遠藤 その先生が、私の持っていた本見て、「よかったら、その本の先生のところにセカンドオピニオンの紹介状、書きますよ」って言われたので、その場で書いてもらいました。
遠藤 そちらの病院はがんの専門病院だったから、セカンドオピニオンも聞いてみようって思って行きました。
遠藤 たまたま1週間後に診察の予約は取れたので、総合病院で撮ったCTとMRIを見てもらいました。
遠藤 まず見立てとしては「このデータは粗くてよく分からん」って言われました。
遠藤 バリウムの写真も下手くそだと。正直これで判断はつかないけど、多分、全摘になるのが8割ぐらい。
遠藤 残り2割ぐらいは一部切除でいいかもしれない、内視鏡のレベルではない」というのだけは分かりました。
遠藤 その専門病院でもう一回検査をしました。
遠藤 バリウム検査の結果は、胃がんの中でもスキルス胃がんっていう胃の中にはうようなタイプのがんでした。
遠藤 おなかの中にがんが飛び散っているかもしれないので、それを確認して、もし飛び散っているようだったら、先に抗がん剤治療してから手術をする形になりますっていう話でした。
遠藤 そして急きょバリウム検査やった翌日から入院して審査腹腔鏡をすることになりました。
遠藤 そこで、がんが散らばってないことが分かって、すぐに手術する方向に切り替えました。
岸田 やっぱり胃は全摘になったのですか。
遠藤 スキルス胃がんで胃の全部にはうようにがんが広がってるから、全部取らないと根治にはならない、ということでした。
遠藤 ちなみに、この胃を全部取るときに、問題やった胆のうも一緒に取ってもらいました。
岸田 胃が全部なくなることに関して、不安感とか。
遠藤 めっちゃありましたね。胃が無いというのが想像つかないし。
遠藤 手術の仕方とか、胃がなくなったらどうなるかっていうのも、いろいろ体験談、ネットで見たりとか、先生も説明してくださったりしました。
遠藤 特に先生の説明は、どちらかというとリスクを説明されたので、とても不安はありました。
【治療】
岸田 胃の全摘手術、どれくらい時間はかかりましたか?
遠藤 手術自体は6時間。取った胃、周りのリンパ節も併せて調べて、転移がないかも確認し、結果ステージがⅢcというのが分かりました。
遠藤 ステージⅢ以上だったら再発の可能性が高く、6、7割くらい再発するらしいので、再発させないためには、術後の補助化学療法で、抗がん剤の治療をするのが標準プランだと聞き、手術終わって1カ月半後から抗がん剤治療がスタートしました。
岸田 Ⅲcとはどのくらいのレベルなのですか。
遠藤 私はリンパに8個転移していました。
岸田 他の臓器には転移してない?
遠藤 してなかった。
岸田 抗がん剤治療は1種類だけ? 何種類か一緒にやる感じ?
遠藤 私の場合は点滴と飲み薬の抗がん剤なので2種類なのですが、抗がん剤治療には松竹梅の選択肢があって、私は梅にしました。
岸田 どういう松竹梅だったのですか。
遠藤 一番数値が良く、予防率が高い薬が松。真ん中が竹。一番下は梅。
岸田 なんで梅を?
遠藤 松と竹は、例えば脱毛しますよとか、しびれが出ますよっていうのがある強いタイプの抗がん剤で、梅は、そのどちらもそんなにないです、みたいでした。
遠藤 再発防止率の結果を聞いたら、松と梅でも5パーか10パー変わるか、変わらないくらいでした。
遠藤 松を選んだら100パーセント再発しないって言われたら、そりゃ松、選びますけど、5パーか10パーしか変わらないのに、余計しんどいのは嫌だと思って、梅にしました。
遠藤 ちなみに梅でもバージョンがあって。私、梅のバージョンの治験をやりました。オプジーボの点滴を。
岸田 免疫チェックポイント阻害剤って呼ばれる薬ですね。
遠藤 はい。生理食塩水か薬かどっちが入るか分からないけど、治験だったら、お薬代が要らないんですよ。
遠藤 梅すら選択するのも嫌だったぐらいなので、タダなら、治験のほうがいいと思い、選びました。保険を切っちゃったという精神的ショックも大きくかったです。
岸田 そういうことなのですね。治験で選んで、飲み薬と点滴で。
遠藤 飲み薬はティーエスワンという、胃がんの方がよく飲むタイプの薬を飲んで。水か薬か分かんないものを点滴してもらいました。
岸田 通院?
遠藤 初めの1回だけは2泊入院して、その後はずっと通院で、月に2回ぐらいですね。
岸田 一概には言えないですけど、その副作用的なところは大丈夫でしたか?
遠藤 感じるものは何もなかった。
岸田 飲み薬のティーエスワンのほうはどうでしたか? 副作用とかは?
遠藤 結構気持ち悪かったですね。
岸田 どれぐらいの期間でしたか。
遠藤 治験のルールで、手術した日の1年後までと決まっているので、私は2019年12月までが抗がん剤の治療期間でした。
岸田 治験って、自分で書くことはあるのですか。
遠藤 体調チェックのアンケートみたいなのは毎回書いてました。毎日は何にもしないです。
岸田 2019年12月終了して、術後1年、CTを撮ったと。問題なかった?
遠藤 そうですね。再発の所見なしということで、今は経過観察に入っています。
岸田 ありがとうございます。いろいろ、胃を全摘されて、抗がん剤治療もされてと、まゆみさんのお話でしたが、当時のお写真をいただいております。
遠藤 これは、総合病院でがん告知されてすぐの写真です。
遠藤 私も夫もアウトドアが好きで、山登りやランニングなどをよくやってるんですけど、胃の手術をしたら、そういうのもできなくなっちゃうかもと思って、陣馬山という山に、子どもを背負って山登りに行きました。
岸田 ステージⅢのがんを抱えながら。
遠藤 全然、元気でした。
岸田 そして、その次の写真がこちら。
遠藤 これは術後3週間のときに、また山登りに行ったんです。リハビリしたくって。
岸田 どうでした? 登ってみて、結構きつかった?
遠藤 まあ、いけたかな、みたいな。気持ちのほうがよかった。登れた、よかった、みたいな。
遠藤 手術したらこういうことも何にもできなくなっちゃうかなって思っていたけど、いざ手術終えてみたら、今までどおり山登ったりできるっていう自信につながりました。
岸田 右側の写真は?
遠藤 去年の8月に、抗がん剤治療のインターバルの期間狙って富士山に登りに行きました。
岸田 すごいですね。抗がん剤治療期間中でしょ?
遠藤 休薬期間中に合わせて行きました。これもやっぱり、手術をしたり、胃がなくなったら、こういうこともできなくなるかもって思っていたけど、いや、できるわっていうのを自分で確認しに行きました。
【家族】
岸田 ご両親には、どう伝えて、どういう反応でしたか。
遠藤 両親には、告知されてから2、3週間後くらいに伝えました。自分の母には電話して、「実はこんなことがあったよ」って言って。
岸田 反応は?
遠藤 びっくりしていました。
岸田 旦那さんは、病院から「来てください」と言われ、飛んで来られたタイミングで、がんと知ったわけですか。
遠藤 そうですね。がんかもしれないってことで知って、多分、夫は相当つらかったと思います。
岸田 というと?
遠藤 多分、もう私がいなくなる想定で頭が回っていたみたいで、子どもがそのとき9カ月だし、僕どうしよう、みたいな心境になっていました。
遠藤 後で聞いたら、海老蔵さんのブログなどを沢山読んでいたそうです。
遠藤 私、初めの2週間は夫と私しか病気のことは知らない状態だったのですが、2週間たって自分の中で気持ちが一区切りついて、親に電話しました。
遠藤 私はそこですっきりしたのですが、夫は言う人が多分、誰もいなかったから自分一人で抱え込んでいたと思います。
遠藤 こういうときに夫の心のケアをしてあげる仕組みみたいなのって、何があったのだろうって思います。
岸田 何かサポートは何かありました?
遠藤 審査腹腔鏡の入院するときには4、5日間夫も仕事があったので、私の親に来てもらって、子どものお世話をしといてもらいました。
遠藤 あと公的なものでいうと、私の住んでいる区で緊急一時保育という、子どもを保育園で、親が病気とか突発的なことを理由に1日1000円ちょっとで預かってくれる制度があり、利用しました。
【子ども】
岸田 お子さんのことです。ちょうど生後9カ月で、お子さんが生まれたときにがんが分かったとのことでしたが、お子さんをご両親が見たり、緊急保育を利用したということでしょうか。
遠藤 そうですね。がんが分かって手術受けますというところまではいろいろネットで調べましたが、あんまり事例がぱっと出て来ませんでした。
遠藤 もうちょっと大きいお子さんがいらっしゃる方の事例などは出てきましたけど。
遠藤 がんが分かってすぐのとき、同じ胃がんで、同じ年齢の子どもがいる方のブログに行き着いて、その方にメッセージを送ったら、たまたま同じ病院で手術を受けてらして、すぐに会いに行きました。
遠藤 「胃、取ったけど、こんな感じで手術の経過こうなってるよ」や、子どもに関しても、「両親を交互に呼んで、シフト組んで、お世話しに来てもらってやってるよ」、「サポート体制こんなふうにしてるよ」、みたいな話を聞き、私もいろいろ想像ができるようになりました。
遠藤 結局、手術する前から術後1カ月の間は、子どもを関西のほうに預け、両親に見てもらいました。
【仕事】
遠藤 私は人材系の会社で働いています。がんが分かったときは育児休暇中で、そのまま育児休暇としてお休みを続けています。
遠藤 今年の春から復職する予定です。そういう意味では、もともと休んでいたので治療に専念しやすい環境でした。
岸田 4月から復職するタイミングで、がんっていうことは、職場は伝えるのですか、伝えました?
遠藤 育児休暇を延長するときにも、保育園の問題とかもあるので、こういう病気なので延長してお休みしますっていうのはもう話してあります。
岸田 そうなのですね。あとは4月に復職してから、どれだけ働けるかっていうところですね。
【お金・保険】
遠藤 2018年の頭に出産、12月にがんの手術などで、多分、医療費100万ぐらいは超えたと思います。
遠藤 保険で返ってくる分は、入院で1日5000円ぐらいのものだったので、多少は助かりました。手術は、1回したら5万円とかは確か付きました。
岸田 100万の10%か20%ぐらいのものを保険で賄って、それ以外は、貯金?
遠藤 貯金と、あと育児休暇中だったので、育児休業の給付金をもらっていました。
遠藤 あとプラス傷病手当金。健康保険から傷病手当金がもらえました。
遠藤 雇用保険と健康保険って別々なので、私は育休中だから、まさかダブルでもらえるなんて思わなかったのですが、もらえることがわかりました。
遠藤 結局、雇用保険のほうは5割保証されて、傷病手当は6割ちょっと保証されました。育休中に病気になって助かったと思って。
【辛い・克服】
遠藤 精神的には告知されてすぐのときが一番つらかったですね。がんに対するイメージがすごく悪いのもあり、精神的にへこんじゃいましたね。
岸田 そのようなときにどう克服するというか、どう立ち向かっていったのですか。
遠藤 初めは、何がつらいのかを自分の中で考えてみたのですが、もしかしたら子どもの将来を見れないかもしれない、みたいなことが一番、自分の中で悲しくなる出来事でした。
遠藤 でも、別に死んだら子どもの姿が見えないって誰が決めたんだろうと。多分、死んでも、これだけ思ってるから見れる、と思いました。
遠藤 だから、別につらいことじゃない、と思って乗り切りました。
岸田 肉体的には?
遠藤 体力が落ちたり、おなかが痛いなどはありました。
遠藤 手術が終わって退院して、高尾山行ける3週間までの間は結構、家の中でもずっとおなかが痛いからロキソニンを飲んで痛みを散らしたり、ご飯も恐る恐る食べたりでしたが、3週間ぐらいたってようやく落ち着きだして、日常的なこともするような気力も出てきました。
遠藤 手術自体のつらさは、ここで切り替えができました。でも、その後に、抗がん剤治療始めることになり、梅だったので大したことないと思っていたのに、常に胸焼けがひどかったです。
遠藤 胃がないけど、胃がむかむかする、みたいな感じがありました。
遠藤 1人でいたり子どもといたりすると、どうも自分の体の変化にばかりに意識が行っちゃって、小さな変化にすごい頭が行っちゃうことがありました。
遠藤 なので、抗がん剤を使用中の4月から社会人大学みたいなところに、半年間のプログラムに入りました。
岸田 どのタイミングで?
遠藤 治療中。2019年2月から抗がん剤治療して、2019年4月から始めました。
遠藤 雇用保険の給付金みたいな形で、勉強の支援に半分ぐらい学費補助制度があるんですよ。これ使おうと思って。
岸田 半年間行ったと。それが気を紛らわして、克服していったということですね。
【後遺症】
遠藤 今でもあるのは、胃がなくなった影響によるダンピングです。食べ方によっては喉につかえて苦しくなったりします。
遠藤 食べ物をよくかまないと胃がないから駄目です。あと炭水化物などを一遍にたくさん取ると血糖値が下がって、急に眠たくなっちゃいます。
岸田 今は普通に食べられますか。
遠藤 普通に食べられます。
岸田 食事制限とかは?
遠藤 何もしていません。好きなだけといっても、1人前を食べるのがやっとです。半人前ぐらいがちょうどいいんですけど。
遠藤 一日中おやつ食べたりとかもしています。
岸田 小腸が胃の代わりしてくれてるということ?
遠藤 そう。人間、胃がなくても大丈夫ってことを伝えたいです。別に唐揚げもアイス食べても大丈夫だし、おなかが痛いとかはなりませんでした。
遠藤 そう、思い出した。ティーエスワンを飲んでると、おなかを下すんですよね。
遠藤 だから去年はずっとおなか下してました。なんかやっぱり便の質は変わりました。
【反省・失敗】
遠藤 手術するまでに時間がなかった。
遠藤 いっぱい調べたつもりが、調べ切れなかったことが1個あって。
遠藤 私、おなかを切った手術の痕が今、結構でっかいミミズが貼り付いたような感じになっています。
遠藤 開腹手術したけど、きれいに傷が治った人がいて、縫い方によってはきれいに治るっていうのを、その方はリクエストしたから見事に開腹手術の傷が目立たないぐらいになったそうです。
遠藤 私はそれを知らなかったことが、唯一の失敗。やっぱり初めの縫うときが大事だということが分かって。リクエストができればよかったなと思います。
【医療者へ】
遠藤 お医者さんや看護師さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
遠藤 ただリクエストするなら、お医者さんの縫い方。学校で、それを初めから基本で学ぶような仕組みになったら良いと思います。
【Cancer Gift】
遠藤 一番は、すごい視界が広がったというか、知らない世界を知れたということです。
遠藤 学校に行ったり、そこでお友達が増えたりもそうですし、がんになって初めて『がんノート』も含め、いろんな患者会で開催しているセミナーに出向いたりしました。
遠藤 そういう、がんの方向けのイベントのお手伝い、ボランティアなどで多分100人ぐらいは新しく知り合い増えたと思います。
遠藤 同じようにがんで闘っている方とも知り合えるし、医療関係者の方とも知り合えて、視野が広がったなっていうのはすごく思います。
【夢】
遠藤 目標は二つありまして、一つはマラソン。もともとフルマラソン、結構、年に3回ぐらい走っていました。もう一回走ろうっていう。
岸田 まだ走ってないのですか。
遠藤 まだ。1回走ろうと思って、去年練習をしていたら、足を痛めたと同時に、抗がん剤の影響があったみたいで、足に血栓ができて、また入院することになっちゃいました。
遠藤 今は、走る練習お休み中。もう一つは、2人目の子どもが欲しいと思っています。
遠藤 この年齢を考えてもかなりチャレンジャブルですけど、胃がなくなっても産めるのかっていうのも自分の体で実験してみようと思って。
【ペイシェントジャーニー】
岸田 まず初めに第1子出産ですね。その後、結石で入院して。ちょっと上がるのですね。
遠藤 一瞬、気持ちが戻って。
岸田 その後、がんが発覚し、むにゃむにゃってなっていますね。
遠藤 情報を探しまくって、どうなっちゃうのだろう、私、みたいな。
岸田 そこでちょっと上がっていますね。それは何かというと、腹をくくる。
遠藤 もう考えていてもしょうがないと思って。
岸田 そして、ちょっと上がっているのはブログ1位。
遠藤 闘病記録を自分も付けようと思い、がんが発覚したところからずっと書いていたら、闘病ジャンルで1位に瞬間風速的になったことがありました。
遠藤 なんかすごいモチベーションが上がりました。
岸田 すごい。そんな中で生きがい探し。これはどういうことですか。
遠藤 がんになったからこそできることって何だろうっていうのを、がんが分かってすぐのときから、とても考え出して。やっぱり、普通の生活を続けるつもりでしたが、病気っていうことをきっかけに自分の中で生きる意味を考えようと思いました。
遠藤 岸田さんとかもそうですけど、がんを経験された方が、がんになられた方のためにサポートしようとする活動が、こんなにたくさんあるのだと、初めて知りました。
遠藤 私にできることって何だろう、がんになった意味を考えよう、とずっと思っていました。
岸田 ありがとうございます。そして手術。胃の全摘の手術をして、その後リハビリでちょっと上がっていくけれども、家族とのトラブル。
遠藤 1カ月半ぐらい子どもを兵庫県の私の実家に預けていました。
遠藤 母と妹とおばが、みんなでシフト組んで子ども見てくれました。
遠藤 それぞれ、妹も小学校の手のかかる子どもがいたり、母も仕事していたり、おばも80を越えていたり。
遠藤 みんな結構ぱつぱつの中でやってくれていたので、だんだんその中でのストレスみたいなのがあったみたいです。
遠藤 みんなが子どもを預かっていることでそんなにトラブルになるのだったら、今すぐ子ども迎えに行かなきゃ、みたいな気持ちになりました。
遠藤 私も余計にぴりぴり考えちゃったりして、預けるのも簡単じゃないなって思いました。
岸田 そして、抗がん剤治療が入っていって。その後、スノボもしてたのですね。
遠藤 スノボも好きでした。
岸田 そしてさっきおっしゃっていた社会人大学に行って、そして副作用。
遠藤 飲み始めてすぐのときはそんなにでもなかったのですが、2カ月ぐらいたったときから、急に熱が何回か出ました。
遠藤 そういう突発的な副作用に悩まされていた時期もありました。でも学校に行って、気を紛らわしたりしました。
岸田 そしてその後、富士山に行ったり、台湾も行ったと。
遠藤 そう。台湾遊びに行って、それがきっかけで血栓。
岸田 そこから血栓症で入院して。それで抗がん剤治療が終了し、春から社会復帰していくということでございますね。
【今、闘病中のあなたに】
遠藤 生きがいは何よりも効く薬です。
遠藤 気持ち的に、生きがいを感じながらするのが一番いい薬だと、あるドラマのシーンにあり、そのとおりって思いました。
遠藤 私は子どもの顔を見るのも楽しいし、子育てが生きがいだったり、スノボしたり、山登ったりするのも生きがいだし、これから働くのも生きがいになってくるだろうし。
遠藤 そういうのが、これから元気で居続ける、何よりの薬だと思います。
岸田 ありがとうございます。