がんや病気を通して、改めて自分はどういった人間なのか、どういう考え方してるのかを知り,それが新しい自分をつくることになった。そして,それが今の自分になっている。

【略称】インタビュアー:岸田 / ゲスト:白石

更新日:2018年08月11日

【宣告】

岸田 第14回がんノート、約3年前のゲスト、白石大樹さんにお越しいただいております。まず自己紹介をよろしくお願いします。

白石 名前は白石大樹と申します。がん種は甲状腺がんを患いまして、そのとき年齢が27歳で、現在32歳です。その他にもいろいろ病気はしてるんですけど、今日はがんの話をしていこうと思います。

岸田 大樹さんのがんの経験。こちらになっております。

白石 今から7年前の9月。地震があった年なんですけど、自分はそのとき製造関係に勤めてまして、3週間仕事続きという不規則な勤務だったんです。その影響なのか、39度の熱が出てしまって、かかりつけの病院に行ったら、すぐに甲状腺に腫瘍が見つかったんです。そのときの腫瘍のサイズが4センチで、ぽこって喉の辺りに出てまして、これはすぐに検査したほうがいいって言われました。検査したら、なんかステージが5段階評価の3で、良性でもなく悪性でもなくみたいな感じだったんです。時間を置いてもう一回調べ直しても、やっぱりステージⅢAっていう検査結果が出まして。かかりつけの医者には、大学病院で見たほうがいいって言われたんですけどなかなか行けなくて、2012年の1月に病院に行きまして、その後12月25日、クリスマスに甲状腺がんって診断されました。

岸田 要検査になってから結構、間が空いたのは仕事が大変だったんですか。

白石 そうです、仕事の関係もあって。最初は熱が出てるから炎症が起きてるんじゃないかって言われて、少し熱が下がって、3カ月ぐらい様子見てからもう一回検査しようってことで、この間にも3回ぐらい検査してるんです。

岸田 どんな検査をしたんですか。

白石 ちょっと痛いんですけど、腫瘍目掛けて細胞を取ったりする検査です。

岸田 3回やらないと見つからなかったってことですか。

白石 細胞がどのように動いてるのかとか、活動してる、成長してるのとか。良性なのか悪性なのかを判別するための検査らしくて。

岸田 それで2012年の12月25日、クリスマスに甲状腺がんもプレゼントされると。

白石 そう、プレゼントされるという。びっくりです。何だこりゃ、みたいな感じで。

岸田 やっぱり見つかったとき、ショックでしたか。

白石 そうですね。実は、検査前の12月8日に大学病院で過去のデータ資料見て、がんって言われたんです。既にがんが分かってたので、気持ち的には、ああ、みたいな。

岸田 8日に分かって25日までって、結構ずっとつらいですよね。

白石 そうですね。2週間ぐらいはもんもんとしてる感じでした。がんって診断されたけど、確定はされてないからなんかもやもや感があって。

岸田 それで確定診断がされて、解雇って書いてますが、そんなあっさり解雇?

白石 そうですね。転職して4カ月目だったっていうのもあるんですけど、こういう病気が見つかったんで、休みが頂きたいんですけどって話しをしようとしたら、「正社員って話、なしにするわ」って言われて。その後自分の目の前にA4の紙が出されて、退職願も用意されてたんです。俺はなんかあきれちゃったっていうか、苦笑いというか、ああ、みたいな感じで。予想はしていたので、しょうがないみたいな感じでサインしたんです。

岸田 なので、がん診断されてからすぐ解雇されたパターンが大樹君。ちなみにざっくりどんな業種だったんですか。

白石 製造関係で機械加工をやってる職人みたいな感じの職業でした。

岸田 コメントで「解雇はひどい」とか、「ブラックだ」とか言われております。「会社は恨んでないんですか」ってコメントも頂いています。

白石 今、全然恨んでないです。最初はちょっと、何だろうなっていう感じはありましたけど、月日がたつにつれて、もういいかって。何ていうか、消化してくるっていうか。自分の気持ちが変わってくるというか。

岸田 よくできたお方です、本当に。

【治療】

岸田 2013年1月に手術。ここの経過をお願いできますか。

白石 年明けてすぐ入院して、1月9日に手術をして、2週間ぐらい入院してから退院。5月にアイソトープ治療、服用するタイプの放射線で、中からがん細胞を焼き殺すみたいな治療を2回やりました。その後、経過観察が3カ月に1回だったんですけど、それが半年に1回になりました。今は半年に1回経過観察しています。

岸田 手術って結構、怖くなかったですか。

白石 手術は怖かったです。病室から見える夜景がすごいきれいで、少しほっとするんですけど、なんか寂しいというか、むなしいというか、変な感情がこみ上げてきて。気持ちを落ち着かせようとして、手術の前日、なんだか怖いけど、でも何とかなるという気持ちで眺めてたのを覚えてます。

岸田 それで手術を受け、手術の後は大変じゃなかったですか。首が回らないとか、分かんないですけど。

白石 手術した翌日だったか、全身固定されてたんです。首をロックされてて動けない状態で、点滴もたくさんつながってて。そうしたら夜中,隣の病室がすごい叫んでるんです。ずっとなんか「怖いよ、怖いよ」とか言っていて、俺も怖くなっちゃって、やべえなと思って。

岸田 あるあるですよね。

白石 本当に。そのときは怖かったです。ナースコール押すのも申し訳なく思ったんですけど、押しちゃいました。

岸田 怖いですよね。そんな「怖いよ、怖いよ」って言ってたら、こっちも怖くなってきますよね。

白石 怖くなってきますよ、やっぱり。

岸田 それはもう寝て過ごした?

白石 起きてました、その日は。寝れなくて。痛みとかしびれとかも全部残ってたので。その日は結構きつかったです、精神的に。

岸田 じゃあ、もう耐えるしかないって感じですか。

白石 そうです。

白石 そうです。おなかはすくけど何も食べれないし、喉乾くけど、飲み物も飲めないみたいな。耐えるしかなかったです、そのときは。

岸田 そして手術を終え、それで5月にアイソトープ治療。これ簡単にもう一度、説明してもらっていいですか。

白石 放射線を含んだカプセルみたいなのがありまして、それは量が症状によって違うんですけど、自分は結構、量多かったのかな、ちょっと忘れちゃったんですけどそのカプセルを飲んで。その前に2週間ぐらい準備があるんです。食べ物に制限があって、甲状腺は特殊でヨウ素を含む食べ物をできるだけ除くんです。だから質素っていうか、味付けが塩とか。

岸田 そうなんですか。

白石 しょうゆ、海藻類は全部駄目なんです。味付けが本当に味そのもの。

岸田 素材を生かした味を堪能して・・

白石 それを食べるんですけど、2週間はきついです、味が。本当に味気ないというか。それが準備として大変でした。

岸田 そうですよね。その中で治療を行い。そして経過観察。今のところは問題はなさそう?

白石 そうですね。なんか疑わしいみたいなのが何回かありましたけど、様子見なので、今は、問題なく過ごしている感じです。

【仕事】

白石 アイソトープ治療を行った後に、ヘルパーの資格を取ったんです。同年の8月にデイサービスで、介護施設で働き始めて、その月に盲腸になっちゃって。

岸田 これは全くがんに関係なく?

白石 関係ない。急に盲腸になったり、変な年でした。それから半年ぐらい経った2014年の4月から、昼間働きながら夜、学校に行く生活をし始めました。

岸田 すごいです。ヘルパーの資格取って、デイサービスで働いて。

白石 パートで働いて、夜、学校行くっていう生活を4年間送ってました。

岸田 前回は夜学校に通っているときに、がんノートに来ていただいて。

白石 そうです。

岸田 その時、本当に今、頑張ってるんです、みたいな話だったんですよね。

白石 そうです。

岸田 そしてそれから、どん。

白石 学校行って、医療関係の資格を習得して、今年の3月に国家資格を合格して、4月から病院で勤務してます。

岸田 2018年3月。今年の3月に。

白石 今年の3月です。

岸田 国家資格。作業療法士の国家資格を取って、今働かれている。

白石 そうです。

岸田 どうもおめでとうございます。

白石 ありがとうございます。

岸田 どうですか。その当時、がんノートに出ていただいたときは、昼仕事しながら夜は作業療法士の資格取るための学校に通って。結構、大変でした?

白石 そのときも大変でしたけど、今のほうが大変かなって、ちょっと自分の中で・・・。

岸田 今のほうが大変?

白石 ・・・資格を取ってからが大変です。いろんな、覚えなきゃいけないことがあるので。学校は学ぶだけっていうか、勉強するとかそういうふうなんですけど、国家資格取ってから自分でいろんな医療関係の勉強をしたりとか、技術を磨いたりとか、覚えることがたくさんあるので、どっちかっていうと今のほうが大変かなって思います。

【後遺症】

岸田 がん治療をしてから結構経ちますけれど、例えば副作用とかで今の仕事に影響とかはありますか。

白石 がんに関しては、ちょっと後遺症みたいなのがあります。

岸田 どんな後遺症?

白石 自分は飲み込みづらいっていうのが。喉に違和感、切迫みたいなのが残ってるんです。傷というか、うずくというか。天気とかも影響してくるのかと思いますけど。

岸田 そうね。僕も天気が、頭に影響してきます。

白石 動きが悪かったりとか、突っ掛かりがあったりとか、それはずっと残ってるんで、付き合っていくしかないんですけど。あと僕は、がんに関係ないんですけど、もう1個持病を持っていて、そっちのほうが大変かなって思います。潰瘍性大腸炎っていう病気を患っているんで。

岸田 そうなんですよね。

白石 そっちのほうがちょっと厄介な部分があります。

岸田 ありがとうございます。コメントでも「国家資格の取得、おめでとうございます」とか。「すごいですね」とか。

白石 ありがとうございます。

岸田 そして「ヨウド制限、面倒くさいですよね。外食できないし」って。

白石 そうです、外食できないです。全く駄目なので。

岸田 ちなみにその食事制限のときに、工夫してたこととか何かありますか。

白石 ひたすら早く時間過ぎてほしいというか。だから食べ物って大事だなって、すごく思います。味付けとか、なんかそういうのが。しょうゆ味って、こんなにおいしいもんだみたいなのがありますよね。

岸田 今は食事制限大丈夫ですか、なしで。

白石 比較的ないほうなんですけど、潰瘍性大腸炎があるので、一応、肉とかはあんまり食べないように。脂っこいものは食べないようにはしてます。

【つらかったこと・克服】

岸田 そういった経験をされてきた中で、大樹君が、がんノートのその後といったところで、大変だったタイミングとそのときにどうしたかを、教えてもらえますか。

白石 大変だったっていうと、いろいろあるんですけど、自分の中で体調に波があったりとか、ひょっとしたらまた再発じゃないかみたいな、変に気持ちが揺らぐときがあったりしますけど、そういうときは気持ちを切り替えたりとか。

岸田 どうやって気持ちを切り替えるんですか。

白石 自分、結構、土手沿いで歩いたりするのが好きなんです。

岸田 何土手?荒川土手?

白石 多摩川。

岸田 多摩川土手ね。

白石 ああいう景色です。あとは気分が落ち込んでるときは、バイクで海沿い行ったりとか、海を眺めたりとか。

岸田 湘南?

白石 湘南です。そっちのほうへ行って、海を眺めて、波を聴くみたいな。それが結構、好きだったりとか。そういうふうに気分転換を、結構してました。

岸田 気分転換の方法を何個か持っているっていうことが大事なんですね。

白石 そうです。

岸田 時間もあと5分ぐらいになっちゃったので、まずこちらの質問が来ています。「食べづらいものって、どんなものですか」っていう質問です。

白石 食べづらいもの。でも、何でも飲み込むときがちょっとしづらいっていう。

岸田 お餅とかは?。

白石 お餅は食べれるんですけど、ただ最後に飲むときにちょっと突っ掛かるというか。飲み込みづらいという違和感みたいのがあります。

岸田 そういう食べづらい・・・。

白石 引きつるような感じです。

岸田 ・・・引きつるようなものが。嫌いな食べ物は。

白石 ないです。大概は。

岸田 そんな大樹さんの、今。国家資格も取って、今はばりばり働いかれている大樹さん。昨日もお仕事だったんですよね。

白石 そうです。

岸田 今のやりがいってどうですか。

白石 やりがい。取りあえず早く慣れることです。何ていうか、そういういろんなことに含めて。

岸田 実際、患者さんだったりとかと接していくんですよね。

白石 そうです。実際に患者さんを見て治療したりとか、いろいろいい方向付けを見つけてるような感じです。

【医療従事者へ】

岸田 ちなみに医療従事者の方もいらっしゃるので、同じ医療従事者の立場から何か言うこととかありますか。

白石 患者さんって共感したいとか、寄り添いたいって人が、多分、多いんじゃないかって思うんです。だから話を聞く時間を重視したりとか、ちょっとしたことで、救われるんじゃないかと思ったりします。自分も患者さんに対して聞く側を多めにしているつもりです。

岸田 寄り添う感。

白石 寄り添い感みたいな。そういう感じがちょっと多いかなって、自分の中で思います。

【今,闘病中の方へ】

岸田 大樹さん、最後に今、闘病中の方に対してのメッセージをお願いできますか。どん。

白石 いろいろ考えたんですけど、むやみに励ますとかそういうのじゃなくて、一応、自分の経験として、新しいっていう表現は分からないんですけど、新しい自分をつくるっていうふうに思いました。

岸田 新しい自分をつくる。

白石 新しい発見っていうか。自分で気付かなかったことに気付いたりとか、考え方が変わったりとか。今までになかった自分を知るきっかけなったかなって思います。

岸田 知らない自分と出会う。

白石 出会うとか、見つめ直すとか。がんとか病気をして、改めて自分はどういった人間なのかとか、どういう考え方してるのかとか、反省点を踏まえたりとか。そういうのを全部ひっくるめて、いいきっかけになって新しい自分をつくることになったのかなっていうふうに思います。それが今の自分になるわけだから。

岸田 大樹君の場合は、それが作業療法士で。

白石 そういうのです。そういうのを発見して、こういう方向へ行こうとか、今の考え方は昔の自分とちょっと違うとか。いろんな嗜好が変わってくるというか。見方が変わってくるっていう感じです。

岸田 そうか。見方が変わって、新しい自分をつくるっていう形に病気も捉えてもらって。

白石 そうです。

岸田 そして乗り越えて行ってほしいと。

白石 そうです。やっぱりふさぎ込むのも、仕方ないと思うんです。ただ考え方を少し、180度変わらなくても、10度ぐらいでもいいんですけど変わると、新しい自分をつくるきっかけになるのかなって思います。それで,気持ち的には少しは救われるんじゃないかと思うんです。

※本ページは、経験者の体験談を扱っております。治療法や副作用などには個人差がございますので、医療情報に関しましては主治医や、かかりつけの病院へご相談、また科学的根拠に基づいたWebページや情報サイトを参照してください。
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