希望を持って自分らしく生きる事。それが残された人生、長かろうが短かろうが、充実したものになるかどうかの分かれ目

【略称】インタビュアー:岸田 / ゲスト:哲也、浩美

更新日:2018.08.06

宣告

岸田 今日のゲストは轟哲也さんと、浩美ご夫妻です。よろしくお願いします。

哲也 紹介していただきました轟哲也です。私は2年と4か月前にスキルス胃がんのステージ4、腹膜播種ありで、リンパ節転移もあり、遠隔転移ありの手術不能、根治手術不適応という診断を受けました。そのときの一応嫌がる医師を無理矢理脅す様にして聞いた余命っていうのが、「まあ、月単位で考えて下さい」と、いうことでしたけども、こうして2年4か月生きて、今日も一生懸命電車に乗って歩いてここまで来れました。そういう状況です。

岸田 ありがとうございます。この2、3日前にも抗がん剤受けたところですよね?

哲也 そうです。この間の木曜日に治験薬を打ってきて元気になって一昨日退院したばかりです。そんな状況です。

岸田 はい。退院ホヤホヤの轟さんです。じゃあ、浩美さん。

浩美 主人ががんになったときに、いろいろな情報を見る中で岸田さんのブログにもすぐ行き当たりましたし、「がんノート」もやってることを知ってました。若い人が出る番組だなと思っていたので、今回お声をかけていただいたときにもう驚愕して、驚愕プラスとっても嬉しくて、今日はちょっと2人若ぶってはしゃいで来てますので、よろしくお願いします。

岸田 哲也さんのがんが発覚したときの経緯をお伝えいただけますでしょうか?

哲也 ちょっと話が面倒臭くなるんですけども、2013年の12月の精密検査でスキルス胃がんだって言うことがわかったんですが、じつはその丸々1年前のときから胃の不調がありまして、行政の行うがん1次検診で胃のバリウムX線写真で、精密検査必要ということで精密検査受けて出た診断が、慢性胃炎だったんです。そこから1年経って、ようやくスキルス胃がんと診断がつきました。実はその告知の1年前に撮ったバリウムのX線写真、それからその直後に受けた精密検査の内視鏡の画像を、スキルス胃がんの患者の物であることを伏せて別の医師、たとえば内視鏡の権威の先生であるとか、バリウムX線の権威の先生に診てもらったら、その時点で「スキルス胃がんですよ。これは」って言われるんです。それぐらいスキルス胃がんって言うのは、見逃されてきて、数か月から1年、2年経って、もう末期の一歩手前、あるいはもう末期の状態じゃないと見つからないというのが現状ですね。自分は1年間ずっと胃の不調を抱えながら、ようやくスキルス胃がんと告知を受けたときに、初めてホッとしました。自分はずっとスキルスじゃないかという疑いを常に持ってて、でも医者に訴えると「慢性胃炎だよ」って言われて、その治療しか受けられていない。それがようやく2回目の精密検査で「スキルス胃がん」と言われて、明日からはスキルス胃がんの治療ができるんだ。逆にそこで希望を持てたという感じでしたね。その段階を経ないとまたずっと慢性胃炎の治療しかしない、単純に胃薬しか処方されないので。普通告知のときって頭が真っ白になるとか、パニックになるとか言いますけど、私は自分なりにもうスキルス胃がんだと推測してたので、自分の言った通りじゃないの! という様な、どっちかっていうともう嬉しい様な気持ちでしたね。症状としては、私の場合、胃の上部、噴門側がけっこうがんで狭窄してひょうたん型みたいになってて、食べたものがそのひょうたんの上の方にまず詰まる、がんで狭窄……狭くなってるんですね。なので、健康なときの食事の半分も食べないうちにお腹がいっぱいになって、お腹いっぱいっていう感覚とちょっと違うんだけど、もう入っていかない。最後の一口が口の中にあるのにそれすら飲み込めない。そういう状況があって。普通たとえばお腹がいっぱいになると、みなさん経験あると思うけど、ゲップするとちょっとお腹に隙間ができて楽になる。そのゲップをじゃあ出そうと思っても、ゲップすら出せない。もう胃が全然動いてない感じをすごくもってました。これはスキルス胃がんの患者さんみなさん同じ様に、「胃が硬くて動いてない感じ」「健康な時の半分も食べられないで、もうお腹がパンパンで苦しくて、1時間ぐらい目を白黒させている」、そう言うのはやっぱ共通している感じでしたね。

岸田 しかも胃カメラでもスキルス胃がんの場合は、見つけにくいんですよね?

哲也 そうなんですよ。普通の胃がんって、胃の袋の中の内側にこう瘤ができたり、逆にへこんだりするんで、胃カメラで見ると、「あ、瘤があるよね。へこんでるよね」ってことですぐわかるんですけど、スキルス胃がんって胃袋の袋を作ってる筋肉層の中にできちゃうんで、表面って胃カメラで見ても健康な人の胃と同じ様にツルツル綺麗なんですよ。だからスキルス胃がんを知ってる医療者じゃないと、ちょっとした変化が見つけられなくって、慢性胃炎とかストレス性胃炎という診断になってしまう。そこの微妙なところがわかってる先生だとちょっとした、どっかしらにちょびっとがんが出てたりするんで、それを見つけられたり、あるいは胃カメラから空気を入れて膨らみが悪いからとか、内視鏡の先でちょっと胃壁を押す感じの手応えで「硬くなってるね」とかって事が分かるらしいんですけども、それがわからない先生だと、あとで出てくる患者会の会員さんも、やっぱりみんな胃炎ってと診断を最初受けるんですよね。だからすごく見つけにくいがんではあります。

岸田 スキルス胃がんって発覚するまで長かったと思うんですけども、見つかったときにホッとしたっていうのは、本当けっこう素直な、がん宣告されるよりも、わかって良かったみたいな。

哲也 そうそうそう。馬鹿みたいに理系人間だから、「ほれ見ろ、俺の推測が当たってたじゃないか」って。

岸田 患者が思う何か直感って、けっこう当たったりしますよね?

哲也 当たる。そうですよね。だからそれを医療者側は、「大袈裟だ」とか「心配し過ぎだ」とか、「神経質じゃないか」とかって言って、最初は片付けちゃうんでしょうけども、やはり患者の勘とか、要するにそういう不快な症状を感じてるのは自分なんで、やっぱりそういうものから色々調べていって、行き着く答って結構当たってたりするのかなっていう実感はあります。

岸田 その宣告を受けて、浩美さんはどうでした? 宣告を受けたときは2人一緒に行ってない? 1人だけ?

哲也 1人で。告知されて部屋出てすぐ連絡入れました。間を空けると何か画策してるんじゃないかと思われるといけないから。そのまま正直に、「スキルス胃がんだよ。ステージ4でもう手術できないって言われた。ま、余命は数か月」。

浩美 その文章だけをクールに言われて、「じゃあ」って言われたあとで、「えー?」って言うのが。でも私、幼稚園の先生だったので子どもの前で泣くわけにもいかない。それを聞いたのが、朝の子どもが登園している様な状況だったので、そこから帰すまでの間に変だと思わせない、泣かない、ちゃんとするっていうので頭いっぱいで、でもその日に私何してたか何にも覚えてないですね。それぐらい私はショックでした。

岸田 ですよねえ、血液検査でひっかかったということですが、腫瘍マーカーはそんときは出て?

哲也 マーカーは高かったです。2013年11月に受けた精密検査の結果の腫瘍マーカーは、正常値の上限の20倍を超えてました。その前に慢性胃炎って診断される数か月前に、たまたま別の人間ドックで同じ腫瘍マーカーを取ってたんですが、その値は正常値だったんですよ。だから、1年半の間に腫瘍マーカーが何十倍って増えたってこと自体から考えても、胃がんだったらもうスキルスしかないだろう。普通の胃がんだったら、もうちょっと前からわかるはずだから、やっぱりある程度の短期間のうちにガツンと増えるんだったら、もうスキルスしかないだろうって思いました。

治療

岸田 治療を簡単におさらいさせていただいても良いでしょうか?

哲也 基本的にはもう根治手術は不能、不適応ですね。ステージ4の場合っていうのは、基本的に手術ではなく、化学療法で延命とがんの症状緩和が目的です。だから、そういう意味では治す治療ではないってことですね。当初はステージ4で根治手術不適応っていう形でも、術前補助化学療法っていうもので、手術の前に化学療法をして腹膜播種や遠隔転移が消えれば、手術しましょうっていう考え方の医師もいて、私の主治医はそういう考え方でした。ただ、厳密にいうと、術前補助化学療法じゃないんですけどね。化学療法を受けて3か月目ぐらいで評価をして、腹膜播種が消えてたら手術って事だったけども、3か月目の検査でも腹膜播種がわずかに残った。「じゃあ、もうちょっとやりましょう」ってことで5か月続けて、5か月目の検査でほとんど他のデータからはもう腹膜播種はないだろうって状況までいってたんだけども、やっぱり顕微鏡レベルではわずかに一部の場所から見つかったので、やはりここでもう「手術はできないね」って事。これ以上化学療法続けて行っても、5か月経っても消えない腹膜播種はもう消えないっていう事と、化学療法いっぱいやった後に手術すると、縫合不全を起こしたり合併症のリスクが高いんですよ。それでうちの主治医はもう手術はなしで、抗がん剤治療のみでいく方針に変えました。最終的には6次治療まで。普通抗がん剤治療ってファーストラインの1次治療、セカンドラインの2次治療まではだいたいエビデンスってあるんですけども、3次治療のサードラインをやるかやらないかって段階が、そこで止めて緩和ケアに行くか、あるいは3次治療をゴリ押しして医者にやってもらうという、だいたいどっちかのパターンなんですけど、私の場合は6次治療までやってます。今7次治療目です。

岸田 腹膜播種って簡単に言うとどんな?

哲也 お腹の中で、胃とか腸とか肝臓など、あらかたの臓器を包んでる膜ですね。それが腹膜。播種とは、漢字で書くと、ハは播くっていう字。シュは種。要するに、種を播く。パッとこう種を播いたみたいに、ちっちゃながんが腹膜にあちこち散らばってる状況です。だから、かたまってないんで、もし腹膜にちょびっとがんがかたまっていれば、それだけすくってしまえば良い話ですけども、もう辺り一面に細かい、下手すると目に見えないくらいのがんが散らばってる状況なので、仮に胃を全摘手術しても、体の中からがんを全部取り切れない。取り切れないのに手術をするとどうなるかっていうと、当然手術した事によって炎症が起こるから、炎症性サイトカインっていう物が出て、それをがんは物凄く好むので、もう爆発的に増殖するんですよ。あっという間に末期までいって、すぐ命を落とすのがだいたいのパターンですね。なので、腹膜播種があるという事は、イコール、もう手術しないのが今の標準治療には通ずる考え方ですね。腹腔鏡で見ると、腹膜の所に真っ白になった、いろんな大きかったり小さかったりっていうのがあちこち散らばっているがんが見えます。

岸田 手術の前に抗がん剤をして、けど腹膜播種の関係から手術がちょっと厳しいね、ということになり。

哲也 そうですね。この5月までは、とにかく手術をめざして、すごいきつい抗がん剤でも無理してやってたという状況です。副作用がガンガン出てるんだけども、そんなことよりもとにかく腹膜播種を消すのが第一優先なんで、我慢に我慢を重ねてやって、5月まで来て、いよいよ今度切れる、ある意味腹膜播種があっても切っちゃおうか、ってぐらいのとこまでいってたんですけども、やっぱりここで主治医が「もうリスクが高いから止めた方が良い」って言う判断で、それ以上ゴリ押しできなくて希望が立たれたところですね。

岸田 ちなみに、1回目の抗がん剤とか、2回目の抗がん剤とかあるじゃないですか。それはスキルス胃がん用に抗がん剤あるんすか? それとも胃がん用のをやっていく感じですか?

哲也 完全に胃がんですね。スキルス胃がんも胃がんの一種なんで、大きく括ってしまえば確かに胃がんの括りなんですけども、ただその本来胃がんていうのは、さっき申し上げた様に、胃壁の内側、胃袋の内側に瘤ができたり、逆にへこんだりする。そこの部分だけ取ってしまえばある程度根治は見込めるっていう状態ですけども、スキルスはそうならないで、とにかく胃袋の全体に、内側からは見えない様に胃の外に向かってどんどんどんどん増殖していくので、ある意味同じ胃がんでもタイプが全然違う。スキルスをある程度ちゃんとやられている先生は、スキルスは胃がんとは別物だと認識を持ってます。なのに、スキルスの治療法は確立されてなくって、胃がんの標準治療に則って治療します。これはスキルス胃がんが胃がんに含まれているから、「それで良いよね」ってことじゃなくって、基礎の先生も臨床の先生も30年近くもうずっとスキルスの専門で、治療法の確立の為に研究してるんですけど、何やっても今のところ有効な治療法がない、どうしてスキルスになるのか原因もわかってない、というのが現状です。ようやく原因が少しゲノム解析等によってわかってきかけている状況らしいですね。その基礎の先生に話を聞くと。なので、スキルス胃がんは、そういう意味では治療法がない胃がんですね。

岸田 ゲノムを使ってようやく今解明されかけてきている、胃がんでも、胃がんじゃないがんですね。

哲也 そうですね。だから「私たちは、胃がんじゃないんですよ」って訴えかけを世の中にしていきたいってこと。胃がんと同じ様に見られて、「胃がんだから大丈夫だよね」なんてことで片付けられるんじゃなくって、1つのがん、胃がんとは異なるがん種だと思って、研究をして欲しいし治療法も確立して欲しいと思ってます。

つらいこと・克服

岸田 肉体的と精神的につらかったときに、どう克服したか、しているかをお聞かせいただけますでしょうか?

哲也 身体的につらいときっていうのは、そんなに無茶苦茶あったわけじゃないんです。身体的なつらさは早期緩和ケアで対応ですね。支持療法っていって、吐き気がつらければ吐き気止め。痛みがあれば痛み止め。今のがん治療はそれとセットで必ずやってますので、自分がたとえば痛いのに「痛くないよ」って言えば、痛み止めはもらえない。だから痛ければ「痛い」って言う。吐き気がつらいんだったら、「吐き気があってご飯食べられない」って言えばちゃんと吐き気止めは出してもらえる。そこら辺は上手く主治医とコミュニケーションを取っていけば良い話ですよね。それがなかなか浸透してなくって、じつは上手くそれをコントロールできてない患者さんって多いと思うんですけども、積極的に主治医とコンタクト、あるいは看護師さんとコンタクト取って、コミュニケーション取ってやっていけば良い。それで乗り越えていけると思います。精神的につらい、これもやっぱり早期緩和ケアで、じつは自分は去年の6月から緩和ケアを受けています。緩和ケアっていうと、まだまだイメージがターミナルケア、終末期医療、治療がなくなって、最後痛みを取って安らかに最期を迎えましょうっていうイメージが強いと思うんですけども、今のがん治療は告知から緩和ケアが始まるっていう概念で動いています。自分は告知からではなったけど、去年の6月に緩和ケア外来に行って家内と一緒に緩和ケアを受けて、家族も一緒に受けれますので、精神的な部分も含めて、緩和ケア外来で診てもらえます。精神的につらい部分は乗り切っていくっていう形ですよね。

岸田 浩美さんも結構行ってみて良かったですか?

浩美 行ってみて良かったです。初めて家族のことも心配してくれるんだなと。「奥様はどうですか?」って必ず言って下さるし、あと私の表情とかを見ていて、あとからそっと「ご主人の前じゃ言えないことがあるんじゃないですか?」とか言ってくださったりもするので、そう言う私を見ててくれる人がいるっていうのは大きかったですね。あとは、同時期なんですけれども、やっぱり家族に病気があると、いろいろなことを自分は我慢していたんですけれども、どうしてもこう煮詰まって来ちゃったんで、自分の高校のときの先輩がやっているバンドのライブに思い切って、「エイッ!」って行ってみたんです。そしたら本当に忘れていた世界がそこにあって、そして私を病気の人の妻という目じゃなくて、個人として見てくれる世界がそこにはあって、いろんな人の所に飛び込んで行って、そこの人と繋がって話しをしたりすることで私が元気になったら、きっとこの人の為にもなるって思えた。その2つが同時に来たので、それが良かったのかなと思いますけど。転機でしたね。緩和ケア、良いですよ、行くと。たぶん緩和ケアっていう言葉に誤解があるんだと思うんですけれども、本当に体のつらさを取ってくれたり、お腹とか気持ちが悪いんだとか、ちょっと眠れないとか、そういうのをやってくださるし。家族も含めて対象なので、やはり頼れる人がいるということがこんなに前を向く力になるんだと思うんで。今は早期からの緩和ケアにぜひ掛かることを私はおすすめします。

哲也 早期緩和ケアのもう1つのメリットは、受けてない状況で、たとえば治療が進んで、最後「積極的治療はおしまいですから、緩和ケアに行ってくださいね。どうしますか? 緩和病棟入りますか?」って言われ、「はい」って言って入れるもんじゃないんですよ。緩和病棟も空き待ちで、下手すると何か月も経たないと入れないところがあったり、自分のとこの病院に診察掛かってないと、緩和ケア病棟には入れないところがあったりとかいろいろ制約があって。だいたい緩和ケア病棟っていうのはほとんどどこでも空き待ちです。だから必要になって行ってみたからって入れるもんじゃないので、早め早めに緩和ケア外来に掛かってると、緩和ケア病棟に優先で入れてくれたりしますので。だからそういう意味での緩和ケアって、早いうちから掛かっておくのはメリットがある話なんですよね。

浩美 早いと診断受けたときからだよね。

哲也 診断時から緩和ケアです。主治医と緩和ケアと両方で診てもらうのが当たり前になるはずです。

医療従事者へ

岸田 お医者さんや看護師さんたちへの感謝だったり、こうして欲しかったなど何かありますでしょうか?

哲也 ステージ3までですと根治手術が可能なので手術に向けて治療を開始するんですけども、ステージ4は根治手術ができないので化学療法になります。化学療法のみになるということは、厳しい言い方かもしれないけど、持って1年、2年の話っていうのは、患者側はもうわかっているんですよね。化学療法しながら10年、20年生きて行く、治るよって事は基本的にはない。稀に化学療法している中で、治っていく、がんが消える人っているんですけども、それは宝くじで当たるよりも確率の低い話であって、基本的に化学療法だけでいくって事は、がん種にもよるけども、スキルスの場合だと1年か2年が良いところ。どんどん数か月で耐性はできていくので、使える抗がん剤はなくなります。先が見えている話なんで、そういう患者に対しては臨床試験や治験を含めて、一番最初に治療法をこう提示して欲しい、選択しうるあらん限りの情報は出して欲しい。治験や臨床試験っていうのは、効果があるかないかを確かめている段階なので、効果があるとは言えないかもしれないけども、でも化学療法でいって1年か2年しか持たないんだったら、臨床試験みたいなものだって、「ある意味一か八かもしれないけど、手術に賭ける事もできるよ」とか、「こういう治験があって、どうやら効きそうな薬らしい。でも、本当に効くかどうかわかんないけど、今だったら試せるよ」とか、そういう情報を与えて欲しい。我々がん患者は、告知受けたときはいわゆるがんの素人であって、全くがんの知識がない。今まで病院に掛かったら、たとえば風邪で掛かりました、腹痛で掛かりましたってときに、病院に行って先生に診てもらって、処方された薬を飲めば3、4日経てば治る。そういう経験をずっとしてきている中で、「がんですよ」って言われたらどう思うかっていうと、この先生の下で先生の言う治療を受けてけば、薬をもらって薬を飲んで行けば治るんだろうって単純に思う。ただ若干がんはね、厄介かなって思うぐらいの話で。だから主治医が「抗がん剤治療やりましょう」って言えば、それをやってけば良くなってくんだって思って受けていくわけですよね。ステージ3までで根治手術可能な人が受ける抗がん剤治療は、根治をめざした化学療法。でもステージ4は根治はもうない。オプションでも根治っていうものはなくって、いかに1日でも長く生きるかっていう、延命のための抗がん剤治療。そうであれば、先が見えてるなら、ありとあらゆる治験の情報でも臨床試験の情報でも出してくれて、その中で患者が自分が良かれと思うものを選択できる。そういう環境にして欲しいという願いはあります。

今、闘病中のあなたへ

哲也 「希望」ですね、「希望」。どんな状況になっても、希望を捨てないというか、希望を持つ。そしてその希望っていうのはたとえば、ステージ4で先がないじゃない。もうお先真っ暗で絶望しかないじゃない。と思うかもしれないけども、覚悟を決めれば、そのあとの人生はやっぱり希望を持ちたいですよね。いつまでも後ろを向いててもしょうがない。別に後ろを向いてるからっていって、毎日が楽しくなるわけでもないし、病気が良くなるわけでもないんだったら、前を向いて希望を持って、そして自分らしく生きる。毎日毎日絶望の中におちいってウジウジしているのは、その人の本当の姿ならそれはそれで良いけども、良く考えてみたら健康だったときは自分はあんなこともしてた、こんなこともしてたというのであれば、とにかく希望を持って自分らしく生きること。それが残された人生、長かろうが短かろうが、やっぱり充実したものになるかどうか分かれ目だと思うので、「希望」と言う言葉をみなさんに贈りたいと思います。

※本ページは、あくまで経験者の情報を扱っております。そのため、あくまでその方のケースはそうだったということを念頭においてください。そのため、医療情報に関しては主治医や、行きつけの病院、またはしっかり科学的根拠に基づいたWebページや情報サイトを参照してください。

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